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副業で社会保険料は増える?増えないケースと負担を抑える方法

副業で社会保険料が増えるケースと、増えないケースがあります。
本記事では、両者の違いを解説する内容です。

まず契約の種類を押さえてください。
副業の社会保険料は、雇用契約か業務委託かといった働き方の違いで大きく変わります

条件を知らずに副業を始めると、想定外の保険料負担が発生しかねません。
しかも本業の会社に副業が知られたりするリスクもあります。

加えて保険料の計算方法や、負担を抑える具体的な工夫まで紹介した内容です。
ぜひ参考にしてください。

目次

副業で社会保険料が増えるかどうかは「働き方」で決まる

副業で社会保険料が増えるかどうかは「働き方」で決まる

最初に副業で社会保険料が増えるかどうかは、副業の契約形態や勤務条件で決まります。

すべての副業が、社会保険料の増額につながるわけではありません。
働き方しだいで、負担額は大きく変わります。
ともあれ自分のケースがどれに該当するか、把握しておきましょう。

社会保険料は「雇用契約かどうか」で仕組みが変わる

副業の社会保険料に影響するかどうかは、契約形態しだいです。
副業先との契約形態が「雇用契約」か「業務委託契約」かで大きく異なります

注意したいのは、雇用契約(アルバイト・パート)の場合です。
一定の条件を満たすと、副業先でも社会保険への加入義務が発生します。
その結果、本業と副業の収入を合算して保険料が算定される流れです。

一方、業務委託契約(フリーランス)は違います。
原則として、副業先での社会保険加入は不要です。

そのため本業の社会保険料にも影響せず、副業収入は事業所得として扱われます。

同じ金額を稼いでも契約形態が違うだけで保険料の負担額が変わる仕組みです。
だから副業を始める前に、契約の種類を必ず確認してください。

副業の形態別・社会保険料への影響早見表

次に副業の形態ごとに社会保険料へどう影響するかを、早見表で整理しました。

副業の形態社会保険料への影響備考
パート・アルバイト(週20時間以上・月収8.8万円以上・従業員51人以上の企業)増える可能性あり副業先でも加入対象となり、報酬を合算して保険料を計算
パート・アルバイト(上記の条件を満たさない)増えない副業先での加入義務が発生しない
業務委託・フリーランス(事業所得・雑所得)増えない本業の給与(標準報酬月額)のみで保険料を算出するため
法人設立(役員報酬あり)増える1円以上の報酬受取で法人の社会保険に加入義務が生じる

なお、2026年8月時点では表の「月収8.8万円以上」という賃金要件に動きがある状況です。
厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」で2026年10月に撤廃予定と案内されています。

ポイントは、雇用契約で一定の要件を満たすケースです。
副業先でも社会保険に加入する義務が発生します。
そのうえ本業と副業の報酬を合算して保険料が決まる点も押さえておきましょう。

一方、業務委託やフリーランスとして働く場合もあります。
副業の収入は、社会保険料の計算に含まれません。

いずれにせよ自分の副業がどの形態に該当するかを、この表で確認してみてください。

副業しても社会保険料が増えないケース

副業しても社会保険料が増えないケース

副業をしても社会保険料が増えないケースもあります。
副業の契約形態や勤務条件により、大きく3つに分かれる形です。

  • 業務委託・フリーランス型で働く場合
  • 副業先の勤務時間・月収が一定ライン未満の場合
  • 副業先が社会保険の適用事業所に該当しない場合

次に自分の副業がどのパターンに当てはまるか、確認してみましょう。

業務委託・フリーランス型は厚生年金の対象外

一つ目に、業務委託やフリーランスとして副業する場合は厚生年金の加入対象になりません。

厚生年金は、雇用契約を結んだ労働者が加入する制度です。
よって業務委託契約では、第2号被保険者に該当しません。

副業がフリーランス型であれば、本業の社会保険にのみ保険料を支払います。
そのため副業の収入は、社会保険料の計算に影響しません。

それゆえ副業でどれだけ稼いでも本業の標準報酬月額は変わらず、社会保険料は増えない仕組みです。

ただし、フリーランスとしての収入には別の負担が生じる点も把握しておきましょう。

本業を退職して、フリーランス一本になるケースです。
この場合は第1号被保険者として国民年金に加入し、保険料は全額自己負担となります。

参考になるのが、日本年金機構「国民年金保険料」です。
2026年度(令和8年度)の保険料は、月額17,920円になります。

もちろん副業の段階では、本業の厚生年金でカバーされる形です。
もっとも将来の働き方が変わる可能性も、考慮してください。

週20時間未満・月収8.8万円未満なら加入不要(賃金要件は2026年10月撤廃予定)

雇用契約で副業する場合でも、加入不要のケースがあります。
週の所定労働時間が20時間未満、または月額賃金が8.8万円未満の場合です。
この場合は副業先での社会保険に加入する必要はありません

短時間労働者が社会保険に加入する条件は、次のとおりです。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上(年収約106万円。2026年10月に撤廃予定)
  • 2か月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない
  • 勤務先の従業員数が51人以上

したがって5つの条件のうち1つでも該当しなければ、加入義務は生じません。

ただし、2026年8月時点では変更が予定されています。
月額賃金8.8万円以上という賃金要件は、2026年10月に撤廃される予定です。

厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」も参考になります。
最低賃金以上で週20時間以上働く方は、賃金要件を満たす形です。
収入を意識する必要はないと案内されています。

月収を8.8万円未満に抑えて加入を避けられるのは、2026年9月までです。
そのため撤廃後は「週20時間未満かどうか」が、実質的な分岐点になります。

たとえば時給1,200円で働くケースです。
月73時間未満(週18時間未満)に抑えれば、月収が8.8万円を下回ります。
週20時間未満の時間要件から見ても、加入対象になりません。

判定の基準は、契約上の「所定労働時間」です。
よって繁忙期に一時的に週20時間を超えた程度では、直ちに加入義務は発生しません。

副業の勤務時間や収入をコントロールしやすい方もいるでしょう。
むしろ金額よりも「週20時間未満」を軸に、シフトを組んでください。

副業先が適用事業所に該当しない場合

副業先が社会保険の適用事業所に該当しない場合もあります。
したがって勤務時間や月収の条件を満たしていても、加入義務は発生しません。

続いて適用事業所とは、厚生年金保険・健康保険の加入対象となる企業のことです。

厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」を見てみます。
2024年10月から、従業員51人以上の企業が短時間労働者への適用対象です。

従業員50人以下の企業で副業する場合もあるでしょう。
その場合は社会保険の加入要件を満たさないケースがあります。

また副業先が非適用事業所であれば、本業の標準報酬月額にも影響しません。
追加の保険料も発生しない形です。

なお、2026年8月時点では今後の見通しも示されています。
2027年10月以降は適用範囲がさらに拡大される予定です。
副業先の企業規模は、定期的に確認してください。

副業先で社会保険に加入が必要になる条件とは

副業先で社会保険に加入が必要になる条件とは

副業先での社会保険加入が必要になる条件があります。
勤務時間・収入・勤務先の企業規模という3つを、すべて満たした場合です。

条件に該当すると、「二以上事業所勤務届」の届出義務も発生します。
そして本業と副業の報酬を合算して、保険料が計算される仕組みです。

判断基準となるポイントを、3つ挙げます。

  • 加入ラインとなる勤務時間と月収の目安
  • 二以上事業所勤務届の提出が求められるケース
  • 本業と副業の合算で標準報酬月額が上がる仕組み

最初に自分の副業が加入条件に該当するかどうか、一つずつ確認してみましょう。

加入ラインは「週20時間・月収8.8万円」が目安

まず副業先で社会保険への加入が求められる条件は、次のとおりです。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上(残業代・賞与を除く。2026年10月に撤廃予定)
  • 2か月を超える雇用見込みがある
  • 学生ではない(休学中・夜間学生は対象)
  • 勤務先の従業員数が51人以上(2024年10月以降の基準)

月額賃金8.8万円は、年収に換算すると約106万円になります。
いわゆる「106万円の壁」と呼ばれるラインです。

なお、2026年8月時点ではこの賃金要件に変更が予定されています。
厚生労働省の適用拡大特設サイトでは、2026年10月に撤廃予定との案内です。
以降は「106万円の壁」を意識した加入回避が、できなくなります。

ただし、要件の判定は副業先単独で行われる仕組みです。
本業と副業の収入を合算して判断するわけではありません

したがって副業先だけで要件をすべてクリアしなければ、加入義務は生じない仕組みです。

実は気をつけたいのは、所定労働時間の扱いになります。

判定基準は、雇用契約書に記載された所定労働時間です。
ゆえに突発的な残業で一時的に週20時間を超えた程度では、加入対象になりません。

一方で恒常的に超過している実態があれば、契約変更と社会保険加入が必要になります。
未加入のまま放置すると保険料を遡って徴収されるリスクもあるでしょう。

よって副業先との契約内容と実際の勤務時間が乖離していないか、定期的に確認してください。

「二以上事業所勤務届」の提出が必要になるケース

副業先でも加入要件を満たす場合は、注意が必要です。
「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」の提出が求められます。

本業の勤務先で社会保険に加入している方も多いでしょう。
副業先でも週20時間以上・月収8.8万円以上などの条件をすべて満たすとします。
その場合は両方の事業所で、被保険者になる仕組みです。

ちなみにこの届出は被保険者本人が行います。
事実発生から10日以内に選択した事業所の管轄年金事務所へ提出しなければなりません。

届出が必要になる代表的なケースは、次のとおりです。

  • 本業で正社員として社会保険に加入しつつ、副業先でも加入要件を満たす
  • 複数の会社で働き、それぞれの会社で加入要件を満たす
  • 自分が設立した会社の代表取締役と、別会社の役員を兼務し両社から報酬を受け取る

他方、副業先で役員に就任していても報酬が発生していないケースもあるでしょう。
勤務実態がない場合も、届出は不要になります。

届出を怠ると社会保険料の未納扱いとなり、法令違反に問われるリスクがある点に注意が必要です。
ゆえに加入要件を満たした時点で、速やかに手続きを済ませてください。

本業+副業の合算で標準報酬月額が上がる仕組み

二以上事業所勤務届を提出した場合の話です。
本業と副業の報酬月額が合算され、新たな標準報酬月額が決定します。

たとえば本業の報酬月額が25万円、副業が10万円のケースです。
合算した35万円をもとに、標準報酬月額の等級が割り当てられます。

そして等級が上がれば、その分だけ毎月の社会保険料も増える仕組みです。

また合算の対象は毎月の給与だけではありません。

しかも賞与や臨時報酬も本業・副業の双方で合算され、保険料の計算に反映されます。

算定された保険料は、事業主と被保険者で折半する形です。
そのうえで各事業所の報酬月額の比率に応じて、按分されます。

年金事務所から各企業へ、合算後の標準報酬月額が通知される流れです。
そのあとそれぞれの企業が、給与から天引きを行います。

ちなみに厚生年金保険の標準報酬月額には、上限65万円が設定済みです。
合算額がこの上限を超えても、保険料は頭打ちになります。

副業の収入が増えるほど保険料が青天井で上がるわけではありません。
いずれにせよこの点を押さえておきましょう。

実際にいくら増える?副業時の保険料計算例

実際にいくら増える?副業時の保険料計算例

副業で社会保険料がどれだけ増えるかは、計算で求められます。
本業と副業の報酬額を合算した標準報酬月額が、その土台です。

計算で押さえるポイントを、3つ挙げます。

  • 本業と副業の月収を合算した標準報酬月額
  • 厚生年金保険料率18.3%の按分方法
  • 健康保険の組合ごとに異なる料率

具体的な金額を把握しておくと、手取りへの影響を事前にシミュレーション可能です。
確認してみましょう。

月収20万円×副業5万円のケースでいくら変わるか

本業の月給20万円に加えて、副業で月5万円を得るケースです。
副業の働き方しだいで社会保険料の増減は大きく変わります

本業のみの社会保険料は、約2万9,000円です。
副業が給与所得か業務委託かで、結果が異なります。
それぞれのパターンを、押さえておきましょう。

はじめに副業が「給与所得(雇用契約)」の場合を見てみます。
月収5万円は、社会保険の加入条件である月額8.8万円を下回る水準です。

加入条件を満たさないことから、副業先での社会保険加入は不要になります。
ゆえに本業の保険料も変わりません。

ちなみに2026年8月時点では、賃金要件に変更が予定されています。
厚生労働省の案内では、月額8.8万円の賃金要件は2026年10月に撤廃される予定です。
以降は週20時間以上働くかどうかなどで、加入が判定されます。

もっとも副業先の勤務時間や契約内容が加入要件に該当するケースです。
合算報酬月額25万円をもとに保険料が再計算されます

次に副業が「業務委託・個人事業主」の場合もあるでしょう。
本業の社会保険料は、約2万9,000円のまま据え置きです。

そのかわり副業の所得に応じた税負担が別途発生する点には、注意してください。

年間の副業所得が20万円を超えると、確定申告も必要になります。
また経費の管理も、忘れずに行いましょう。

厚生年金は合算報酬×18.3%を収入比で按分する

厚生年金保険料は、本業と副業の報酬を合算した標準報酬月額が基準です。
18.3%を掛けた総額を、各事業所の収入比で按分して算出します。

2017年9月以降、厚生年金保険料率は18.3%で固定された状態です。
2026年度も、変更はありません。

たとえば本業の月給が24万円、副業の月給が10万円のケースです。
合算額34万円で、標準報酬月額が決まります。

その結果、総保険料は34万円×18.3%=62,220円です。

按分率は本業が24万円÷34万円、副業が10万円÷34万円になります。
そのあと各事業所が負担する保険料額が、決定される仕組みです。

労使折半のため、本人負担は総額の9.15%分になります。

同様に賞与にも、同じ仕組みが適用される決まりです。

本業の賞与が100万円、副業の賞与が50万円のケースを考えます。
合計150万円×18.3%=274,500円が、労使合計の総保険料です。
本業分は183,000円、副業分は91,500円に按分されます。

按分後の保険料は、各事業所がそれぞれ半額を負担する形です。
本人が全額を支払うわけではありません。

この例で労使折半後に本人が負担する合計は、137,250円です。
274,500円の半分にあたります。

副業で社会保険に加入すると報酬合算で等級が上がり、保険料総額も増える仕組みです。
この点を把握しておきましょう。

健康保険料は加入する組合によって料率が異なる

健康保険料は、厚生年金のように全国一律の料率ではありません。
加入する健康保険組合や協会けんぽの都道府県支部ごとに料率が異なります

健康保険組合の一般保険料率は、3%〜13%の範囲内です。
各組合が実情に応じて、自主的に決定できる仕組みになります。

加えて実際の料率のほか、被保険者と事業主の負担割合も組合ごとの規約しだいです。

その結果、同じ標準報酬月額でも加入する組合しだいで自己負担額に差が生じます。

協会けんぽは、労使折半が原則です。
もっとも健康保険組合では、事業主側が多く負担しているケースも珍しくありません。

同様に副業先と本業先で加入する組合が異なる場合、それぞれの料率で保険料が計算されます。

合算報酬だけでなく、所属先の組合料率も保険料総額に影響する要素です。
自分が加入している組合の公表料率を、確認しておきましょう。

※社会保険の料率・基準は改定されます。最新は日本年金機構・厚生労働省の公式サイトをご確認ください。

社会保険料の負担を抑える働き方の工夫

社会保険料の負担を抑える働き方の工夫

続いて副業の社会保険料は、働き方の選び方や勤務条件の調整で抑えられます。

保険料の計算方法を、把握しておいてください。
そのうえで負担を軽減する具体的な手段を、実践してみましょう。

  • 雇用契約ではなく業務委託で副業を受ける
  • 勤務時間を週20時間未満に調整する
  • 個人事業の経費を計上して翌年の国保料を圧縮する
  • 副業先の企業規模と適用事業所かどうかを事前に確認する

4つの方法を組み合わせてください。
そうすれば手取り収入を効率よく確保できます。

雇用契約ではなく業務委託で副業を受ける

一つ目に、副業を業務委託契約で受ければ本業の社会保険料は増えません。

業務委託には、雇用関係がない点が理由です。
だから副業先の企業に、社会保険の加入義務が発生しません。

業務委託で得た収入は「事業所得」または「雑所得」として扱われます。
給与所得とは区別されるため、本業の標準報酬月額に影響を与えません

とはいえ契約名目が業務委託でも、注意が必要な場合があります。
実態として指揮命令関係がある場合は「偽装請負」と判断されるリスクもあるでしょう。

偽装請負とみなされると、雇用契約と同様に社会保険の加入義務が発生します。
働き方の実態が業務委託の要件を満たしているか、確認してください。

副業の業務委託収入が、年間所得20万円を超える場合もあります。
その場合は確定申告も必要なので、税務面の対応もあわせて把握しておきましょう。

勤務時間を週20時間未満に調整する

二つ目に、副業先で雇用契約を結ぶ場合は勤務時間がカギになります。
週の所定労働時間を20時間未満に抑えれば社会保険の加入義務は発生しません

パートやアルバイトのように、勤務時間を柔軟に設定できる働き方もあります。
だから、この方法が有効です。

2026年8月時点では、月収を8.8万円未満に抑えるやり方は恒久的に使えません。
厚生労働省が案内するとおり、賃金要件が2026年10月に撤廃される予定です。

とはいえ気をつけたいポイントもあります。

契約書上は週20時間未満であっても、油断はできません。
実際の労働時間が2か月連続で週20時間を超えた場合、3か月目から社会保険の加入義務が生じます

シフトの追加や残業が常態化するケースです。
契約内容にかかわらず、年金事務所から加入手続きの指導を受ける可能性があります。
実労働時間の管理も、徹底してください。

そして確認しておきたいのが雇用保険の加入要件です。

週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある場合、雇用保険の対象にもなります。
社会保険と同じ「週20時間」が一つの分岐点だと、覚えておきましょう。

副業先と契約条件を取り決める段階で、所定労働時間を明確に設定してください。
明確な設定が、負担を抑えるカギになります。

個人事業の経費を計上して翌年の国保料を圧縮する

三つ目に、国民健康保険に加入している方が業務委託や個人事業として副業するケースです。
必要経費を漏れなく計上することで翌年の国民健康保険料を抑えられます

国保料の所得割部分は、「売上-必要経費」で算出された事業所得が算定基礎です。
経費が増えるほど、保険料の負担は軽くなるでしょう。

見落としやすい経費の例を挙げます。

  • 自宅家賃や電気代の事業利用分(面積・利用時間を根拠に按分)
  • 通信費やパソコン関連の購入費
  • 副業に必要な書籍・研修費

さらに、青色申告を活用する方法も有効です。
e-Taxかつ複式簿記の条件を満たせば、最大65万円の特別控除を受けられます。

所得割率9%の自治体で年収300万円のケースです。
青色申告特別控除だけで、国保料が約5〜6万円下がります。

経営セーフティ共済など、掛金を経費や損金に計上できる制度も選択肢です。
適用条件は事業の形態により異なるため、利用前に税理士等へ確認してください。

確定申告で経費を正しく反映した所得金額が、翌年度の国保料に直結します。

所得がゼロでも、住民税の申告は必要です。
副業収入が発生した年は、必ず申告を済ませてください。

副業先の企業規模と適用事業所かどうかを事前に確認する

最後に確認したいのは、副業先が社会保険の「適用事業所」に該当するかどうかです。
該当するかどうかで、加入義務の有無が変わります。

2024年10月からは従業員51人以上の企業まで短時間労働者への適用が拡大された状況です。
対象範囲が広がっている点に、注意してください。

副業先が適用事業所に該当しないケースとして、次のような事業所が挙げられます。

  • 個人経営で常時従業員が5人未満の事業所
  • 農林水産業やサービス業などの任意適用業種に該当する事業所

副業先がこうした事業所であれば、条件を満たしていても加入義務は発生しません。
勤務時間や月収は関係ないと考えてよいでしょう。

他方、従業員51人以上の法人で条件を満たす場合は加入対象です。
週20時間以上・月額賃金8.8万円以上(賃金要件は2026年10月に撤廃予定)が条件になります。

日本年金機構の「適用事業所検索システム」も便利です。
事業所名や所在地から、社会保険の加入状況を確認できます。
副業を始める前に、調べておきましょう。

業務委託型で始めやすい在宅副業の例は、関連記事で紹介しました。

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副業の社会保険でよくある誤解

副業の社会保険でよくある誤解

実は副業の社会保険については、事実と異なる情報も広まっています。

誤った認識のまま副業を始めると、想定外の負担や手続き漏れにつながりかねません。

よくある誤解として押さえておきたいポイントは次の3つです。

  • 副業が会社にバレるルートは住民税だけだという思い込み
  • 二重加入すると保険料が2倍になるという誤解
  • 厚生年金の加入期間が増えても将来の受給額は変わらないという勘違い

いずれにせよ正しい知識を持ったうえで、副業の社会保険に対応しましょう。

副業が会社にバレるルートは住民税が主だが社会保険経由もある

はじめに副業が会社に知られる最も一般的なルートは、住民税の「特別徴収」です。

副業で所得が増えると、翌年の住民税額に反映されます。
本業の給与から天引きされる住民税が、不自然に高くなる仕組みです。
会社の経理担当者に気づかれるケースがあります。

住民税を「普通徴収」に切り替えて、自分で納付してください。
そうすれば本業側に知られるリスクも下がるでしょう。

ところが社会保険経由で発覚するルートも存在します

副業先で社会保険の加入要件を満たした場合、「二以上事業所勤務届」の提出が必要です。
本業と副業の報酬を合算した標準報酬月額をもとに、保険料が按分されます。

按分された保険料は、各事業所の給与からそれぞれ控除される仕組みです。
本業側に届く通知や保険料額の変動から、副業の存在が伝わる可能性があります。

個人事業主として業務委託で副業する場合は、社会保険の変更が生じません。
この経路での発覚リスクは、ないと考えてよいでしょう。

副業の形態を選ぶ段階で、どのルートが自分に当てはまるかを把握してください。

二重加入でも保険料が2倍になるわけではない

二つ目に本業と副業の両方で社会保険に加入するケースもあります。
もちろん保険料が単純に2倍になることはありません

二重加入時の保険料は、各勤務先の報酬月額を合算した金額で標準報酬月額を決定します。
総保険料を報酬割合で按分する仕組みです。

A社の月収が20万円、B社の月収が10万円だとします。
合計30万円で標準報酬月額が決まる計算です。

厚生年金保険料は30万円×18.3%=54,900円になります。
労使折半後の本人負担総額は、27,450円です。

この27,450円を報酬比率で分けてみます。
A社分が18,300円、B社分が9,150円です。

ポイントは、本人が支払う保険料の合計額になります。
「月収30万円の1か所で働いた場合」と同額です。

A社とB社それぞれで、満額の保険料を取られるわけではありません。
二重加入=負担倍増という認識は誤りだと、覚えておきましょう。

厚生年金の加入期間が増えると将来の年金額は上がる

三つ目に副業先で厚生年金に加入するケースです。
保険料負担は増えるものの、将来受け取れる年金額も上がります

厚生年金の報酬比例部分には、決まった計算式が使われる仕組みです。
「平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数」で計算されます。
副業分の報酬が合算されれば、平均標準報酬額と加入月数の両面で受給額に反映される流れです。

平均報酬月額40万円で、加入期間20年(240月)だとします。
報酬比例部分は、年間約52万6,176円です。

同じ報酬月額で加入期間が40年(480月)になるとします。
年間約105万2,352円まで増える計算です。

加入期間が20年以上になれば、配偶者への加給年金(年額約42万円・年度により改定)が加算される可能性もあります。
家族構成しだいでは、さらに上乗せも見込めるでしょう。

日本年金機構「加給年金額と振替加算」も参考になります。
令和8年4月からの配偶者の加給年金額は、243,800円です。
昭和18年4月2日以後生まれの受給者は、特別加算を含めて合計423,700円になります。

目先の保険料だけでなく、老後の受給額まで含めて副業の社会保険加入を判断してください。

副業の社会保険料は働き方次第でコントロールできる

最後に副業の社会保険料は、契約形態や勤務時間の選び方しだいで負担額を調整できます。

雇用契約で週20時間以上・月収8.8万円以上の条件を満たすケースです。
本業と副業の報酬が合算され標準報酬月額が上がるため、保険料負担も増加します。

反面、業務委託契約なら厚生年金の加入対象から外れる形です。
副業収入に対する社会保険料は発生しません

もちろん雇用契約であっても勤務時間を週20時間未満に抑えれば、加入条件を回避できます。

2026年8月時点では、月収8.8万円以上という賃金要件に変更が入る見込みです。
2026年10月に撤廃される予定のため、今後は金額ではなく勤務時間を軸に調整してください。

将来の年金額を増やしたい場合もあるでしょう。
逆にあえて加入条件を満たす働き方を選ぶ方法も有効です。

副業を始める前に、契約形態・勤務時間・副業先の企業規模の3点を確認してください。
自分の目的に合った働き方を、選んでみましょう。

副業で社会保険料は増える?増えないケースと負担を抑える方法
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