副業で20万以上稼ぐと所得税の確定申告義務が発生し、正しく申告しないと無申告加算税や延滞税といったペナルティを受ける可能性があります。
一方で、経費の計上や青色申告の活用により課税所得を大幅に減らせるケースも少なくありません。
本記事では、副業で20万以上の所得を得た場合に必要な確定申告の基準や税額の目安、節税方法を解説します。
確定申告の具体的な手順から会社にバレないための対策まで網羅的に解説しているので、ぜひ参考にしてください。
副業で所得20万円超えたら確定申告は必要?

副業の所得が20万円を超えた場合、確定申告が必要です。
判定の基準や申告が求められる条件には、見落としやすいポイントがいくつかあります。
- 所得20万1円から確定申告が必要
- 基準は「収入」ではなく「所得」で判定
- 給与所得が2か所以上の場合は全額申告が必要
- 所得20万円以下でも「住民税申告」は必要
自分が申告対象かどうか、それぞれの基準を確認してみましょう。
所得20万1円から確定申告が必要
副業で得た所得が20万1円に達した時点で、確定申告の義務が発生します。
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」では、給与所得者が副業などで給与所得・退職所得以外の所得合計が20万円を超える場合に確定申告が必要と定めています。
つまり「20万円ちょうど」であれば申告不要ですが、1円でも超えた瞬間に申告対象となるのです。
たとえば副業の所得が20万500円だった場合、わずか500円の超過でも申告義務が生じます。
「少額だから大丈夫」と放置すると、後からペナルティを課されるリスクがあるので、年間の副業所得は正確に把握しておきましょう。
基準は「収入」ではなく「所得」で判定
確定申告が必要かどうかの「20万円」は、売上そのものではなく経費を差し引いた「所得」で判定します。
収入と所得の違いを正しく理解していないと、本来不要な確定申告をしてしまったり、逆に必要な申告を怠ったりする原因になるので注意しましょう。
所得の計算式は次のとおりです。
- 収入(売上)- 必要経費 = 所得
たとえば副業のライター業で年間30万円の報酬を得ていても、パソコン代や通信費などの必要経費が11万円かかっていれば所得は19万円となります。
この場合、20万円を超えていないため確定申告は原則不要です。
一方、経費がほとんど発生しないアンケートモニターやポイントサイトの収入は、売上がほぼそのまま所得になります。
副業で20万以上の収入があったとしても、経費を正しく集計すれば所得が20万円以下に収まるケースは少なくありません。
レシートや領収書は日頃から保管し、年間の経費を漏れなく計上してください。
給与所得が2か所以上の場合は全額申告が必要
アルバイトやパートなど、副業が「給与所得」にあたる場合は20万円ルールの適用方法が異なります。
2か所以上から給与を受け取る方は、主たる給与以外の給与収入と給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。
給与所得の副業では、前の見出しで解説した「収入−経費=所得」の計算で20万円以下に抑えることが難しくなります。
給与所得控除は全給与の合計に対して一括適用されるので、副業分の給与収入がほぼそのまま判定額に加算されるためです。
たとえば本業の会社で年末調整を受けたうえで、副業のアルバイト先から年間25万円の給与を受け取った場合、20万円を超えるため確定申告の義務が生じます。
なお、従たる給与は「乙欄」で多めに源泉徴収されているケースが大半です。
確定申告で正しく精算すると納めすぎた税金が還付される場合もあるので、すべての勤務先から源泉徴収票を取得しておきましょう。
所得20万円以下でも「住民税申告」は必要
副業所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要です。
住民税には「20万円以下なら申告不要」という特例が存在しないことから、所得が1円以上あれば申告義務が発生します。
申告先は住民登録地の市区町村役場で、提出期限は毎年3月15日です。
申告時には住民税申告書のほか、源泉徴収票や副業の収入・経費を証明する書類、本人確認書類などを準備してください。
なお、所得税の確定申告を行った場合は税務署から市区町村へ情報が通知されるので、住民税申告は不要となります。
住民税申告を怠ると追徴課税や延滞金が発生する可能性があるため、確定申告をしない方は忘れずに住民税申告を済ませましょう。
所得20万円以下でも確定申告すべき場面

副業所得が20万円以下でも、確定申告したほうが得するケースがあります。
申告義務がなくても、あえて申告することで払いすぎた税金が戻る場合があるので、該当する場面を確認してみましょう。
副業報酬から源泉徴収されている場合
副業の報酬から源泉徴収されているなら、確定申告で納めすぎた所得税が還付される可能性があります。
原稿料や講演料といった報酬は、支払い時に10.21%の所得税が差し引かれる仕組みです。
しかし、経費を差し引いた所得が20万円以下であれば、本来の税負担は源泉徴収額より少なくなるケースが多く見られます。
たとえば、年間の副業報酬が25万円で経費が8万円の場合、所得は17万円です。
報酬から約2万5,000円が源泉徴収されていても、所得20万円以下なら申告義務はありません。
ただし、確定申告をすれば源泉徴収された約2万5,000円の一部または全額が戻ってきます。
申告しなければ、払いすぎた税金はそのまま戻らないままです。
還付を受けたい場合は、所得20万円以下であっても自分から確定申告を行いましょう。
医療費控除等がある場合
医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を使わない場合)などを受けるときも、確定申告が必要です。
医療費控除は年末調整では適用できないので、副業所得の金額にかかわらず自分で申告しなければなりません。
医療費控除の適用条件は、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費の総額が10万円、または総所得金額の5%のいずれか低い額を超えることです。
本人だけでなく配偶者や生計を一にする親族の治療費・薬代・通院交通費も対象に含まれます。
たとえば副業所得が15万円で年間医療費が20万円かかった場合、確定申告をすれば所得税の還付を受けられる可能性があります。
申告しなければ副業所得分の税負担だけが残り、還付の機会を逃してしまうでしょう。
還付申告は翌年1月1日から5年以内に行えるため、過去の分も対象になり得ます。
副業所得が20万円を下回っていても、控除を使える場面では積極的に確定申告を行いましょう。
20万以上稼ぐと副業が会社にバレる原因

副業で20万以上の所得を得た場合、会社にバレる主な原因は「住民税」と「人づての情報漏洩」の2つです。
確定申告をすると住民税額が変動し、その通知が勤務先へ届く仕組みになっています。
税金の仕組み以外にも、日常のちょっとした行動がきっかけで発覚するケースがあるので、それぞれ把握しておきましょう。
確定申告による「住民税の増額」が会社に通知される
副業で20万以上稼いで確定申告すると、住民税の増額を通じて会社に副業が発覚します。
確定申告書を税務署に提出した時点で、申告内容は自動的に市区町村へ転送される仕組みです。
市区町村は本業の給与所得と副業所得を合算して住民税を計算し、毎年5月下旬から6月上旬にかけて「特別徴収税額決定通知書」を会社へ送付します。
この通知書には年税額や月割額、前年比の増減額が記載されています。
たとえば副業所得が15万円増えた場合、住民税は税率10%で約1.5万円増額されるため、給与担当者が金額の変化に気づく可能性があるのです。
住民税は原則として勤務先が天引きする「特別徴収」で納付されることから、副業所得分だけを会社に知らせずに処理するのは簡単ではありません。
申告漏れがあった場合も、後日役所が副業所得を把握すると住民税が更正され、増額通知が会社に届くため注意してください。
同僚への噂話やSNSの身バレ投稿から発覚する
住民税以外で副業が発覚する原因として多いのが、同僚への口外やSNSからの身バレです。
飲み会の場でアルコールが入り、つい副業の話を漏らしてしまうケースは珍しくありません。
「ここだけの話」のつもりでも、知人から知人へと伝わり、最終的に上司や人事部の耳に届くことがあります。
SNSでの発信も大きなリスクです。
「副業で10万円達成」といった投稿を匿名アカウントで行っても、次のような情報の組み合わせから本人を特定される可能性があります。
- 投稿の文体や言い回しの癖
- 投稿時間帯(通勤時間・昼休みなど)
- 背景写真や位置情報
- 本業の職種・居住エリアの記載
- クラウドソーシングのプロフィールに載せた本名や在住地
収益報告や実績公開の投稿が蓄積すると、行動パターンや交友関係から推測される範囲が狭まります。
同僚や上司がたまたまそのアカウントを見つけ、本人だと気づくケースも実際に起きています。
副業の情報発信を行う場合は、本業との接点を完全に断つ意識が欠かせません。
副業で20万以上稼いでも会社にバレないための対策

副業が会社にバレるリスクは、確定申告時の対応と日常の情報管理で大幅に下げられます。
対策のポイントは次の2つです。
- 確定申告時に住民税を「自分で納付(普通徴収)」にする
- 周囲にバレないよう情報を管理する
どちらか一方だけでは不十分なので、両方セットで実践してください。
確定申告時に住民税を「自分で納付(普通徴収)」にする
確定申告書の第2表にある「住民税・事業税に関する事項」欄で、「自分で納付(普通徴収)」を選択しましょう。
この手続きにより、副業分の住民税が給与から天引きされず、自宅に届く納税通知書で自分で納める形式に変わります。
会社の経理担当者が住民税額の変動に気づくリスクを抑えられるので、バレ防止策として有効です。
普通徴収を選択した場合の納付スケジュールは、次のとおりです。
- 6月頃:市区町村から納税通知書が届く
- 6月・8月・10月・翌年1月:年4回に分けて納付
ただし、普通徴収に切り替えられるのは「給与・公的年金等以外の所得」に限られます。
副業がアルバイトやパートなど給与所得に該当する場合、住民税は本業の給与と合算して特別徴収されるため、普通徴収への切替ができません。
なお、給与所得にあたる副業分の住民税を普通徴収にできるかどうかは、自治体の運用によって異なります(2026年8月時点)。
普通徴収を認めない運用の自治体では、給与形態の副業は住民税経由でのバレ防止が難しくなります。
最新の取り扱いはお住まいの市区町村の案内で確認し、副業の形態を業務委託など給与所得以外に変えられないか、早めに検討してください。
周囲にバレないよう情報を管理する
住民税の対策と並行して、日常の情報管理を徹底しましょう。
税金面でどれだけ対策しても、周囲への情報漏洩が原因でバレるケースは少なくありません。
副業の事実を守るために意識すべきポイントは、次のとおりです。
- 同僚・上司・後輩に副業の話を一切しない
- 休憩時間や飲み会の場でも収入に関する話題を避ける
- SNSで副業関連の投稿をしない
- SNSアカウントは本名からかけ離れたハンドルネームで運用する
- 顔写真・位置情報・自宅が映る画像を投稿しない
信頼できる同僚への口滑りや、飲み会での何気ない会話から発覚するパターンは非常に多く見られます。
また、SNSでは実名や顔写真だけでなく、投稿時間帯や文面の特徴から身元を特定されるリスクもあるため、副業用アカウントと個人アカウントは完全に分けてください。
税金の処理を正しく行ったうえで、普段の言動やネット上の発信にも注意を払いましょう。
株式投資の税金や会社バレ対策については、下記の記事で詳しく解説しています。
株式投資は、法律上副業ではなく資産運用に分類されるので、副業禁止の会社に勤めていても原則問題ありません。しかし、何も知らずに株を始めると、税金の申告漏れや会社バレにつながることもあるので、トラブルを避けたい方は注意が必要です[…]
20万以上稼いで確定申告しないと課される罰則

副業で20万以上の所得がありながら確定申告しなかった場合、無申告加算税・延滞税・重加算税の3つのペナルティが課される可能性があります。
- 無申告加算税(納税額の原則15〜30%)
- 延滞税(年利最高14.6%)
- 重加算税(最大50%追加)
バレない対策を講じていても、申告義務を怠れば本来の税額に加えて高額な罰則が上乗せされるので、それぞれの内容を確認してみましょう。
無申告加算税は納税額の原則15〜30%が上乗せされる
確定申告をしなかった場合、本来の納税額に対して原則15〜30%の無申告加算税が上乗せされます。
国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」によると、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税では次の割合が適用されます(2026年8月確認)。
- 納税額50万円以下の部分:15%
- 納税額50万円超〜300万円以下の部分:20%
- 納税額300万円超の部分:30%
副業で20万以上の所得がある方の多くは納税額が50万円以下に収まるため、15%の上乗せが中心となるでしょう。
税務署からの調査の事前通知を受けた後、調査を予知せずに自主的に期限後申告した場合は、50万円以下で10%、50万円超〜300万円以下で15%、300万円超で25%に軽減されます。
調査の事前通知が来る前に自主的に期限後申告すれば、無申告加算税は5%まで軽減されます。
また、過去にも無申告加算税や重加算税を受けたことがある方は、基本税率に10%が加重される仕組みも令和6年から新設されました。
「少額だから見つからない」と放置すると、本税に加えてペナルティが膨らむので、期限内に申告を済ませてください。
納付が遅れると延滞税(年利最高14.6%)が加算される
納付期限を過ぎた翌日から、延滞税が自動的に発生します。
所得税の納付期限は原則3月15日なので、3月16日から日割りで加算される仕組みです。
延滞税の税率は、滞納期間ごとに次の2段階で設定されています。
- 納期限翌日から2か月以内:年7.3%または「延滞税特例基準割合+1%」の低い方
- 2か月経過翌日以降:年14.6%または「延滞税特例基準割合+7.3%」の低い方
国税庁「No.9205 延滞税について」によると、2026年(令和8年)1月1日から12月31日までの割合は、2か月以内が年2.8%、2か月経過後が年9.1%です。
実際に適用される割合は市中金利に連動する「延滞税特例基準割合」により毎年見直されるため、最新の割合は国税庁「延滞税の計算方法」で確認してください。
なお、本税が1万円未満の場合は延滞税が発生しません。
ただし副業所得が20万円を超えて納税額が大きくなると、滞納日数に比例して負担も膨らみます。
無申告加算税と併せて課されるため、申告・納付は期限内に済ませてください。
悪質な隠蔽は重加算税(最大50%追加)の対象になる
意図的に所得を隠したり、架空の経費を計上したりする悪質な行為が認められると、重加算税が課されます。
税率は期限内申告の場合で納税額の35%、無申告の場合で40%です。
さらに過去に同様の違反を繰り返していると10%が加算され、最大50%まで引き上げられます。
重加算税が適用されるケースでは、税務調査の対象期間が過去7年間に拡大される点も見逃せません。
数年分の未申告所得がまとめて発覚すれば、追徴税額は本来の納税額を大きく上回ります。
副業で20万以上の所得があるにもかかわらず申告しなかった場合、無申告加算税で済むところが隠蔽と判断されれば重加算税へ切り替わるため、ペナルティは一気に跳ね上がるのです。
申告漏れに気づいた段階で、速やかに期限後申告を行ってください。
副業所得が20万以上のときにかかる税額目安

副業で20万以上の所得がある場合、年収500万円の会社員なら所得税と住民税を合わせて約4万〜6万円程度の上乗せが目安です。
副業所得が増えるほど税額も上がり、所得50万円では約10万円、200万円では約50万円の負担増となります。
税額の内訳は、所得税・住民税・保険料の3つに分かれるので、それぞれ確認してみましょう。
所得税は税率10〜20%が目安(所得30万円で約3万円)
副業の所得税は、本業の給与所得と合算した課税所得に対して累進課税で計算されます。
国税庁「No.2260 所得税の税率」の速算表では、課税所得195万円以下は税率5%、195万円超〜330万円以下は10%、330万円超〜695万円以下は20%とされています。
会社員の方が副業で20万〜50万円程度の所得を得た場合、合算後の課税所得は税率10%または20%の区分に入るケースが大半です。
副業所得ごとの所得税の上乗せ額の目安は、次のとおりです。
- 副業所得20万円:約2万〜4万円
- 副業所得30万円:約3万〜6万円
- 副業所得40万円:約4万〜8万円
- 副業所得50万円:約5万〜10万円
金額に幅があるのは、本業の課税所得により適用される税率が10%か20%かで変わるためです。
たとえば本業の課税所得が300万円の方が副業で30万円を得ると、合算後の課税所得は330万円で「195万円超〜330万円以下」の区分に収まるため、上乗せ分には税率10%が適用され、所得税の増加分は約3万円です。
一方、本業の課税所得が400万円の方は「330万円超〜695万円以下」の税率20%が適用され、増加分は約6万円です。
自分の源泉徴収票に記載された課税所得を確認し、どの税率が適用されるか把握しておきましょう。
住民税は一律約10%(所得30万円で約2.5〜3万円)
住民税は所得の金額にかかわらず、所得割が一律10%(都道府県民税4%+市区町村民税6%)で計算されます。
所得税のように累進課税ではないので、副業所得が増えた分だけ税額もそのまま増える仕組みです。
副業所得ごとの住民税増額分の目安は、次のとおりです。
- 副業所得10万円:住民税増額分 約1万円
- 副業所得20万円:住民税増額分 約2万円
- 副業所得30万円:住民税増額分 約3万円
- 副業所得50万円:住民税増額分 約5万円
会社員の場合、均等割(約5,000円)は本業の給与から徴収済みのため、副業で増える住民税は所得割の部分のみです。
副業所得が30万円なら約3万円、所得税の約3万円と合わせると合計約6万円の税負担になると把握しておきましょう。
国保加入者は保険料の増加分に注意
国民健康保険(国保)に加入しているフリーランスや無職の方は、副業所得が増えると保険料も連動して上がります。
国保の保険料は前年の総所得をもとに算出されるので、副業で20万円以上の所得が発生すれば、翌年度の保険料に直接反映される仕組みです。
会社員が加入する健康保険(社会保険)は給与額のみで保険料が決まるため副業所得の影響を受けませんが、国保にはこの仕組みがありません。
さらに国保の賦課限度額は引き上げが続いており、現行の国民健康保険法施行令では基礎分67万円・後期高齢者支援金分26万円・介護納付金分17万円・子ども・子育て支援納付金分3万円の合計113万円とされています(2026年8月時点)。
保険料率や均等割の金額は自治体ごとに異なり、保険料水準の引き上げが続く地域もあります。
国保加入者は確定申告後の保険料通知を必ず確認し、負担増に備えてください。
青色申告なら最大65万円控除で節税可能
青色申告特別控除を活用すれば、最大65万円を所得から差し引けるため、税負担を大幅に軽減できます。
副業の所得が「事業所得」に該当する場合に利用でき、65万円控除を受けるには次の要件をすべて満たす必要があります。
- 税務署に青色申告承認申請書を提出済みであること
- 複式簿記で帳簿を記帳していること
- 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付すること
- e-Taxで電子申告、または電子帳簿保存法に基づく保存を行うこと
e-Taxや電子帳簿保存の要件を満たさない場合、控除額は55万円に下がります。
節税効果の目安として、所得税率10%の方なら65万円×10%=6万5,000円、所得税率20%の方なら65万円×20%=13万円の所得税が軽減される計算です。
さらに住民税や事業税の負担も控除額分だけ減るので、トータルの節税効果はより大きくなります。
副業所得が20万円を超えて納税額が気になる方は、事業所得として青色申告できるか検討してみてください。
※最新の税制は国税庁公式サイトをご確認ください。
【会社員向け】初めての確定申告!必要なものと申告手順

会社員が副業の確定申告を行うには、必要書類の準備からe-Taxでの申告書作成・提出まで、6つのステップを順に進めます。
確定申告で準備するものは、次のとおりです。
- 本業の源泉徴収票
- 副業の収入証明書類(売上記録・取引明細など)
- 経費の領収書やレシート
- マイナンバーカード(または通知カード+運転免許証などの本人確認書類)
- 還付金の受取口座情報(預金通帳やキャッシュカード)
- 控除関連書類(医療費控除・ふるさと納税の証明書など年末調整で未申告のもの)
書類が揃ったら、各ステップの具体的な進め方を確認してみましょう。
前提条件:年末調整とは別に「自分で」申告が必要
会社員の副業所得が20万円を超えた場合、勤務先の年末調整だけでは手続きが完了しません。
年末調整は本業の給与所得に対する税額精算であり、副業で得た雑所得や事業所得は対象外です。
そのため、副業分の所得は自分で確定申告書を作成し、税務署へ提出する必要があります。
確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までで、e-Taxを利用したオンライン申告も可能です。
「年末調整で全部済んでいる」と思い込んで放置すると、無申告加算税や延滞税の対象となるので注意しましょう。
1.源泉徴収票・領収書など必要書類を準備する
確定申告に必要な書類は、副業の所得区分で異なります。
本業の源泉徴収票は必ず原本を用意してください。コピーでは税務署に受理されません。
副業が給与所得の場合は、副業先の源泉徴収票も原本で取得しましょう。
雑所得や事業所得の場合は、報酬の支払調書や領収書、請求書を揃える必要があります。
準備する書類を所得区分別に整理すると、次のとおりです。
- 本業の源泉徴収票(原本)
- 副業の源泉徴収票または支払調書
- 経費の領収書・レシート・請求書
- 確定申告書(国税庁サイトからダウンロードまたはe-Taxで作成)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、または通知カード+運転免許証)
雑所得が20万円を超える場合は、総収入金額と必要経費をまとめた収支内訳書の添付も求められます。
書類の不備があると申告のやり直しが発生するので、年明けの早い段階で漏れなく集めておきましょう。
2.一年間の副業収入と経費を帳簿にまとめる
書類が揃ったら、1月1日から12月31日までの副業収入と経費を帳簿にまとめましょう。
帳簿を作成する理由は、確定申告書に記入する「所得金額」を正確に算出するためです。
収入の合計額から経費の合計額を差し引いた金額が所得となり、この数字がそのまま申告書へ反映されます。
帳簿には、次の項目を日付順に記録してください。
- 取引日
- 取引先名
- 収入金額または経費金額
- 経費の勘定科目(通信費・消耗品費など)
- 摘要(取引内容のメモ)
雑所得の場合は帳簿作成の法的義務がないものの、収入と経費の根拠を整理しておくと申告時の入力がスムーズです。
なお、前年の雑所得の収入金額が300万円を超える場合は、現金預金取引等関係書類を5年間保存する義務が生じます。
エクセルやクラウド会計ソフトを活用し、領収書と帳簿の金額が一致する状態を保っておきましょう。
3.雑所得か事業所得か所得区分を判断する
副業の所得区分は、多くの会社員の場合「雑所得」に該当します。
雑所得とは、事業所得を含む9種類の所得のいずれにも当てはまらない所得を指すものです。
エッセイの原稿料やハンドメイド販売、少額のアフィリエイト報酬などは、雑所得として申告するケースが一般的です。
一方、事業所得として認められるには、国税庁の通達で示された判断基準を満たす必要があります。
- 営利性・有償性があること
- 自己の危険と計算において計画的に行う業務であること
- 反復継続して遂行されていること
- 人的・物的設備をもって行われていること
- 職歴や社会的地位などから客観的に認められていること
収入金額も判断材料の一つです。
年間収入が300万円以下かつ本業収入の10%未満であれば、雑所得とみなされる可能性が高くなります。
300万円を超えていても、帳簿書類の保存がなければ「業務に係る雑所得」として扱われるので注意してください。
逆に帳簿を記録・保存しており、事業的規模が認められれば事業所得と判断される場合もあります。
迷ったときは、副業の活動実態と収入規模を照らし合わせて判断しましょう。
4.マイナンバーカードでe-Taxにログインし申告書を作成
所得区分を判断したら、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスして申告書を作成しましょう。
ログインにはマイナンバーカードが必要です。
パソコンの場合はICカードリーダー、スマートフォンの場合はマイナポータルアプリを使って読み取ります。
ログインから申告書送信までの手順は次のとおりです。
- 確定申告書等作成コーナーで「マイナンバーカード方式」を選択する
- 利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4桁)を入力してログインする
- 初回利用の場合は「利用者情報の登録」画面で氏名・住所・生年月日・職業などを入力する
- 券面事項入力補助用パスワード(数字4桁)を入力し、本人情報を確認する
- 画面の案内に沿って給与所得や副業の所得区分・金額・経費を入力する
- 源泉徴収票の内容や各種控除額を入力し、申告書の内容を確認して送信する
初回利用時に利用者識別番号(16桁)を持っていない場合でも、マイナンバーカード方式なら登録画面から自動で取得できます。
パスワードを3回連続で間違えるとロックがかかるので、事前に確認してから作業を始めてください。
5.住民税の徴収方法(普通徴収)を選択して提出
申告書の作成が完了したら、提出前に「住民税に関する事項」欄で徴収方法を選択しましょう。
副業分の住民税を会社の給与天引き(特別徴収)にしたくない場合は、「自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れてください。
普通徴収を選択すると、翌年5〜6月頃に市区町村から自宅へ納税通知書と納付書が届きます。
納付スケジュールは年4回で、時期は次のとおりです。
- 第1期:6月末
- 第2期:8月末
- 第3期:10月末
- 第4期:翌年1月末
6月末の納期限までに全期前納として1年分を一括で支払う方法も選択できます。
納付手段は金融機関窓口やコンビニ、口座振替、PayPayなどのスマホ決済など自治体の対応状況に応じて複数あるので、届いた納付書の案内を確認してください。
チェックを入れ忘れると副業分も特別徴収に組み込まれ、会社への住民税決定通知書に金額が反映されます。
提出ボタンを押す前に、必ず「自分で納付」の選択を確認しましょう。
6.原則3月15日までに所得税を納付して完了
確定申告書の提出が完了したら、所得税の納付期限である原則3月15日までに税金を納めましょう。
期限日が土日祝にあたる場合は翌平日が期限となり、2025年分の申告では2026年3月16日が納付期限です。
納付方法は複数あり、自分に合った手段を選べます。
- 現金納付(納付書を使い金融機関窓口で支払い)
- 振替納税(口座引き落とし、4月中旬頃に引き落とし)
- e-Taxからのダイレクト納付やインターネットバンキング
- クレジットカード納付(国税クレジットカードお支払サイト経由)
- コンビニ納付(QRコードを利用、30万円以下が対象)
振替納税を選ぶと、引き落とし日が4月中旬頃になるため、3月15日時点で手元資金に余裕がない方にも向いています。
ただし、事前に税務署へ口座振替の届出書の提出が必要なので、初回は早めに手続きしてください。
納付期限を過ぎると延滞税や無申告加算税の対象となるため、申告と納付はセットで完了させましょう。
【節税】副業の課税所得を減らして税金を安くする方法

副業の税金を安くするには、課税所得を減らす対策が有効です。
確定申告の手順を把握したら、納める税額そのものを抑える工夫も実践してみてください。
課税所得を減らす主な方法は次のとおりです。
- 副業の収入から経費を差し引いて所得を圧縮する
- 経費として認められる費用を漏れなく計上する
- 青色申告の特別控除(最大65万円)を活用する
いずれも正しく取り組めば、手元に残るお金を大きく増やせます。
それぞれの具体的なやり方を確認してみましょう。
副業の収入から「経費」を差し引いて所得を減らす
副業の節税で最も基本的な方法は、収入から必要経費を差し引いて課税対象となる所得を圧縮することです。
所得の計算式は「売上(収入)-必要経費=所得」であり、経費が多いほど所得が減り、納める税金も少なくなります。
たとえば副業の年間収入が50万円で、パソコン購入費や通信費などの経費が25万円かかった場合、所得は25万円まで下がります。
経費を計上しなければ50万円がそのまま課税対象になるので、税額に大きな差が生じるのです。
自宅で副業をしている方は、家賃や光熱費、通信費の一部を「家事按分」で経費に含められます。
家事按分とは、プライベートと副業で兼用している費用を使用割合に応じて分ける計算方法です。
通信費の20%を副業で使っているなら、その20%分を経費として計上できます。
漏れなく経費を洗い出し、課税所得を適正に減らしましょう。
経費として認められる代表的な費用一覧
副業で経費として認められる代表的な費用は、次のとおりです。
- 通信費(インターネット回線、スマホ料金)
- 家賃(自宅兼事務所の場合、事業使用割合で按分)
- 水道光熱費(事業使用分を按分)
- 消耗品費(キーボード、マウス、USBメモリ、文房具など10万円未満のもの)
- 減価償却費(10万円以上のPC、モニター、タブレットなど)
- 交通費(取材や打ち合わせの移動費)
- 交際費(顧客との打ち合わせ時の飲食代、カフェ代)
- 書籍代(業務に必要な参考書や専門書)
- 広告宣伝費(チラシ作成費、ネット広告費)
- 梱包資材・発送料(商品や書類の発送に使うもの)
- 名刺・伝票などの印刷費
自宅を作業場として使っている場合は、「家事按分」で事業使用割合のみを経費にできます。
たとえば家賃が月20万円で副業に使う面積が25%なら、月5万円を経費として計上可能です。
通信費やスマホ料金も同様に、業務利用の割合分だけ按分して計上しましょう。
一方、10万円以上のPCやカメラなどは購入年に全額を経費にできず、耐用年数に応じた減価償却が必要です。
10万円未満であれば消耗品費として全額を一括計上できるので、購入金額のラインを意識して判断してください。
青色申告できる場合は最大65万円の控除が受けられる
副業を事業所得として申告できる場合、青色申告特別控除により最大65万円を所得から差し引けます。
経費だけでは所得を十分に圧縮できないケースでも、この控除を活用すれば課税所得を大幅に減らせるのが魅力です。
65万円の控除を受けるには、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 複式簿記で日々の取引を記帳する
- 青色申告決算書を作成し確定申告書に添付する
- e-Taxで電子申告する、または電子帳簿保存法の要件を満たす優良な電子帳簿保存を行う
- 現金主義による所得計算の特例を利用しない
e-Taxでの電子申告を行わず紙で提出した場合、控除額は55万円に下がります。
簡易簿記のみの記帳では10万円控除にとどまるので、差は歴然です。
また、申告期限を過ぎてから提出すると控除額が最高10万円まで減額されるため、期限内の提出を徹底してください。
節税効果を具体的に見ると、所得税率20%の方が65万円控除を適用した場合、所得税だけで13万円の減額となります。
住民税の負担も比例して軽くなるので、トータルの節税額はさらに大きくなるでしょう。
クラウド会計ソフトを使えば複式簿記やe-Tax連携のハードルも下がるため、事業所得に該当する副業をしている方は青色申告の届出を検討してみてください。
副業所得20万円超えの確定申告を正しく理解しよう
副業の所得が20万円を超えたら確定申告が必要ですが、判定基準は「収入」ではなく「経費を差し引いた所得」である点が重要です。
申告を怠ると無申告加算税・延滞税・重加算税といった重いペナルティが課されるため、年間の副業所得は正確に把握しておきましょう。
また、確定申告時に住民税を「普通徴収(自分で納付)」に設定することで、副業が会社にバレるリスクを抑えられます。
所得20万円以下でも源泉徴収がある場合や医療費控除を受けたい場合は、積極的に申告することで還付を受けられます。
青色申告や経費の適切な計上で課税所得を圧縮し、合法的な節税も意識しながら副業に取り組んでください。