看護師の副業を禁止する法律はなく、可否を決めるのは勤務先の就業規則です。
公務員としての身分がある勤務先なら、就業規則より先に法律上の許可の要否を確かめる必要があります。
そのうえで雇用で働くか業務委託で受けるかを決めれば、労働時間の通算や税金のつまずきはほぼ防げます。
順番を飛ばして案件を決めてしまうと、あとから中断せざるを得なくなります。
本記事では看護師の副業を始める手順と注意点を順に解説しているので、ぜひ参考にしてください。
看護師の副業可否は勤務先で決まる

看護師の副業を禁止する法律はなく、可否は勤務先の規則で決まります。
ただし公務員としての身分がある勤務先では、許可制が就業規則より先に立ちます。
この章では次の3点を確認します。
- 副業を禁止する法律はない
- 公務員の身分があるなら許可が要る
- 民間病院は就業規則が判断基準になる
自分がどの立場に当てはまるか、順に確かめていきましょう。
副業を禁止する法律はない
看護師の副業を禁止する法律は存在しません。
厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は、労働時間以外の時間をどう使うかは基本的に労働者の自由だという裁判例の考え方を示しています。
2026年8月24日に確認した同ガイドラインでは、企業がこれを制限できる場面が4つに整理されています。
- 労務提供上の支障がある場合
- 業務上の秘密が漏洩する場合
- 競業により自社の利益が害される場合
- 自社の名誉や信用を損なう行為がある場合
同じガイドラインには、厚生労働省が平成30年1月に改定したモデル就業規則についての記載もあります。
そこでは「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」とされました。
看護師の資格を定める保健師助産師看護師法も、2026年8月24日にe-Govの法令データで全文を確認しました。
法令番号は昭和二十三年法律第二百三号で、e-Govの法令検索から全文を読めます。
副業や兼業を制限する条文は置かれていません。
可否を決めるのは法律ではなく、勤務先のルールです。
出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
公務員の身分があるなら許可が要る
公務員としての身分がある看護師は、就業規則より先に法律上の許可を確認してください。
地方公務員の場合、地方公務員法第38条が定めるのは任命権者の許可です。
営利企業の役員を兼ねること、自ら営利企業を営むこと、報酬を得て事業もしくは事務に従事することが、その対象になります。
国家公務員の場合は、国家公務員法第103条が営利企業の役員兼務や自営を制限しています。
第104条は、報酬を得て事業に従事する場合に内閣総理大臣および所轄庁の長の許可を求めました。
どちらに当たるか、そもそも公務員の身分があるかは勤務先によって違うので、自己判断せず人事担当に許可の要否と申請様式を確認してください。
単発の看護バイトや業務委託でも、報酬が発生するなら許可の判断対象になり得ます。
民間病院は就業規則が判断基準になる
民間の医療機関には国家公務員法・地方公務員法が適用されないため、副業の可否は各医療機関の就業規則で決まります。
確認する箇所は次の3点です。
- 副業・兼業に関する条項の有無
- 届出制か許可制か
- 無断で行った場合の定め
就業規則は職員へ周知されるものなので、閲覧場所が分からなければ人事へ請求しましょう。
規定が見当たらない場合も自己判断せず書面で確認を取ると、後のトラブルを避けられます。
副業は雇用型か業務委託型かで分かれる

副業は、雇用契約を結ぶ雇用型と、業務委託契約で仕事を受ける業務委託型の2つに分かれます。
どちらの型かで労働時間の扱いも所得区分も変わるので、最初にここを確定させてください。
| 契約形態 | 代表例 | 労働時間の通算 | 所得区分 | 勤務先への届出 |
|---|---|---|---|---|
| 雇用型 | 他院でのパート・夜勤バイト | される | 給与所得 | 就業規則の確認が必要 |
| 業務委託型 | 記事執筆・セミナー講師 | されない | 事業所得または雑所得 | 就業規則の確認が必要 |
届出の要否だけは型を問わず勤務先の規則で決まる点に注意しましょう。
雇用型は本業と労働時間が通算される
雇用型の副業は、本業と労働時間が通算される働き方です。
根拠は労働基準法第38条第1項の「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」という条文になります。
この「事業場を異にする場合」には事業主を異にする場合も含まれると、労働基準局長通達である昭和23年5月14日付け基発第769号で示されています。
厚生労働省のガイドラインには、簡便な管理方法である管理モデルが示されています。
2026年8月24日に確認した内容では、本業の法定外労働時間と副業の労働時間の合計を単月100時間未満・複数月平均80時間以内に収める枠組みでした。
シフトの入れ方は、この合計の枠を意識して決めてください。
業務委託型は労働時間の通算対象外
業務委託型は、労働時間の通算対象になりません。
通算されるのは、副業先とも雇用契約を結び労働基準法上の労働者として働く場合です。
ガイドラインでも、フリーランスや独立、起業、顧問といった労働基準法が適用されない働き方は通算されないと整理されています。
ただし通算対象外であることは、いくら働いても支障がないという意味ではありません。
体調管理と本業への影響を防ぐ責任は自分側にあるので、月あたりの稼働時間の上限を先に決めてください。
就業規則の許可制や届出の規定は、業務委託でも適用される点を忘れないようにしましょう。
所得区分と確定申告の扱いも変わる
所得区分は、雇用型が給与所得、業務委託型が事業所得または雑所得になります。
給与を1か所から受けていて年間の給与収入が2,000万円以下の方は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。
20万円以下で申告が不要な場合でも、医療費控除の還付申告などを行うときは、その副業所得も併せて申告してください。
2026年8月24日に確認した国税庁の確定申告が必要な方にも、給与所得がある方の判定手順が区分ごとに示されています。
住民税は勤務先が給与から天引きする特別徴収が原則で、市区町村から勤務先へ税額の通知書が届く仕組みです。
自分の所得区分や申告の要否に迷うときは、税務署や税理士へ確認しましょう。
看護師資格を活かせる副業6選

看護師資格を活かせる副業は、単発夜勤や健診など6つの型に整理できます。
選ぶときの軸は、雇用契約で働くか業務委託で受けるかという契約形態の違いです。
- 単発・スポットの夜勤バイト
- 健診・検診スタッフ
- ツアーナース・イベントナース
- ワクチン接種会場のスタッフ
- 医療系コールセンター・オンライン相談
- 医療系ライティング・記事監修
働く時間帯と本業のシフトへの影響を見比べながら、無理なく続く形を選んでください。
単発・スポットの夜勤バイト
単発・スポットの夜勤バイトは、派遣やアルバイトとして雇用契約を結ぶ形で募集されることがあります。
雇用で働く場合、本業と副業の労働時間は通算されます。
勤務は夜間に集中するので、休日の前夜に入れる組み方なら本業のシフトを崩しにくいでしょう。
一方で本業と同じ夜勤・立ち仕事が重なる働き方なので、睡眠不足や疲労の蓄積には注意してください。
報酬の水準は募集ごとに差があるため、時給や夜勤手当の内訳は求人票で確かめましょう。
健診・検診スタッフ
健診・検診スタッフも、派遣会社や運営会社と雇用契約を結ぶ形の募集が見られます。
採血や身体計測、事務補助など担当が分かれるので、募集要項で業務範囲を確認してから応募しましょう。
勤務時間帯や繁忙期は運営会社ごとに違うため、募集要項で確かめてください。
本業が日勤中心の方は休日を使うことになるので、月の稼働回数を先に決めておくと安全です。
立ち仕事と流れ作業が続く現場は体力を消耗しやすいため、本業の連勤直後に入れるのは避けてください。
ツアーナース・イベントナース
ツアーナース・イベントナースは、修学旅行やスポーツ大会に同行して救護を担う仕事です。
募集ごとに雇用契約のものと業務委託のものがあるので、応募前に契約形態を必ず確かめるようにしましょう。
宿泊を伴う同行では数日間拘束され、夜間も体調不良者に備える時間帯が含まれます。
本業で連休を確保できないと受けられない仕事なので、シフト希望の提出時期から逆算してください。
日当や交通費・宿泊費の扱いは募集ごとに違い、条件を読み込まないまま受けると認識のずれが生じかねません。
ワクチン接種会場のスタッフ
ワクチン接種会場のスタッフは、単発の派遣・アルバイトとして雇用される募集が見られます。
問診の補助や接種、接種後の経過観察など、担当範囲は会場の運営体制ごとに分かれます。
勤務時間の単位は募集ごとに違うので、募集要項の時間帯を読んでから応募してください。
休日を丸ごと使い切らずに済む募集なら、本業のシフトへの影響を小さく抑えながら続けられます。
募集の数は時期によって増減するので、必要な経験や勤務条件は募集要項で確認してください。
医療系コールセンター・オンライン相談
医療系コールセンターやオンライン相談は、在宅で受けられる副業です。
運営会社に雇用されてシフトに入る形のほか、業務委託で稼働時間を自分で申告する形も見られます。
シフトの幅は運営会社ごとに違い、本業の勤務後に短時間だけ入る組み方ができる募集もあります。
通勤が不要な分、本業のシフトへの影響を抑えやすく、体力面の負担も夜勤系より軽くなります。
研修期間や求められる臨床経験の年数は運営会社ごとに違うので、募集要項で確かめてください。
医療系ライティング・記事監修
医療系ライティングや記事監修は、業務委託契約で進む形が中心の仕事です。
雇用ではないので本業との労働時間の通算対象から外れ、勤務時間の管理に頭を悩ませる必要がありません。
作業は納期までに終えればよく、休日や勤務後の時間に自分のペースで進められます。
本業のシフトへの影響は小さい一方、納期を守れないと依頼が続かなくなる点には注意してください。
報酬は文字単価や1本あたりの固定など案件ごとに異なるため、条件は依頼を受ける前に確認しましょう。
資格を使わず在宅でできる副業6選

資格を使わず在宅でできる副業は、次の6つです。
- Webライティング
- データ入力・文字起こし
- SNS運用代行
- ハンドメイド販売・ネット物販
- オンライン講師・カウンセリング
- アンケートモニター・覆面調査
6つはいずれも雇用契約を結ぶ働き方ではないので、勤務先との労働時間の通算は生じません。
シフトが不規則でも作業時間を自分で決められる点が、共通の利点になります。
それぞれ確認しましょう。
Webライティング
Webライティングは、企業サイトやメディアに載る記事を書いて報酬を受け取る仕事です。
クラウドソーシングサービスで案件を探し、納期までに納品する進め方が広く使われています。
作業の時間帯が指定されない案件もあるので、夜勤明けを避けて休日にまとめて書く組み立ても選べるでしょう。
報酬は文字単価や1本あたりの単価で決まる案件があり、書く速度が上がるほど1時間あたりの実入りも変わります。
実績が少ないうちは受けられる案件が限られるので、始めてすぐ大きな収入にはなりません。
看護の現場で見てきた分野を書ける案件に絞ると、案件選びの軸を作りやすくなります。
データ入力・文字起こし
データ入力と文字起こしは、指定された形式に情報を打ち込む作業中心の仕事です。
文章を組み立てる力よりも正確さと入力速度が問われるので、未経験からでも受注しやすくなります。
一方で専門知識を求められない作業のため、単価が低い案件も混ざります。
音声の文字起こしは、音源の長さを上回る作業時間がかかる場合もあります。
引き受ける前に、音源の長さと納期を突き合わせて作業時間を見積もってください。
細かい単純作業を淡々と積み上げられる方に向いた副業です。
SNS運用代行
SNS運用代行は、企業や店舗のアカウントで投稿作成やコメント対応を代わりに行う仕事です。
投稿の企画から画像の用意まで任される案件もあり、月額の固定報酬で契約する形も見られます。
毎日の投稿を求められる案件では、日勤と夜勤が混ざる週に作業の負担が偏ることもあるでしょう。
契約前に、投稿頻度と返信の対応時間帯を文書で取り決めてください。
自分でSNSを運用してきた経験があれば、そのまま提案の材料になります。
ハンドメイド販売・ネット物販
ハンドメイド販売とネット物販は、作った物や仕入れた物をネット上の販売サイトで売る副業です。
制作や梱包、発送の時間を自分で決められるため、勤務シフトの影響を受けにくくなります。
販売サイトの手数料や材料費、送料は自己負担になるので、売上ではなく手元に残る利益で採算を見てください。
仕入れて売る物販は、在庫を抱えた分だけ資金が先に出ていきます。
在庫のリスクを負いたくない場合は仕入れ型を避けるという選び方も現実的でしょう。
オンライン講師・カウンセリング
オンライン講師やカウンセリングは、ビデオ通話で指導や相談に応じる副業です。
サービスに登録し、対応できる日時を自分で公開しておきましょう。
空いている枠だけ出しておけばよいので、予約が入った時間だけ働ける点が不規則な勤務と噛み合います。
ただし予約の入った枠は簡単に動かせず、急なシフト変更に対応しにくい側面もあるでしょう。
予約の受付期限に余裕を持たせ、勤務表が確定してから枠を公開してください。
アンケートモニター・覆面調査
アンケートモニターと覆面調査は、企業の依頼で回答や来店調査を行い謝礼を受け取る仕組みです。
スマホで数分で終わる回答を積み重ねる案件があり、通勤や休憩の合間でも取り組めます。
1件あたりの謝礼は小さいので、まとまった副収入の柱にはなりにくい点を先に理解しておいてください。
覆面調査は指定の店舗へ出向く条件が付き、在宅で完結しない案件も混ざります。
登録の前に、謝礼の受け取り条件と個人情報の取り扱いを確認しましょう。
副業の感覚をつかむ入口として使う分には、負担が大きくありません。
ほかの選択肢とも比べたい場合は、副業におすすめの仕事20選もあわせて参考にしてください。
看護師が副業を選ぶときの基準

向き不向きは、5つの基準を上から順に当てはめると判断できます。
- 勤務先のルール
- 夜勤シフトとの相性
- 体力への影響
- 必要な金額
- 守秘義務と利益相反
勤務先のルールから順に当てはめて、残った形態の中から選んでください。
勤務先のルールで選べる形態を絞る
選べる副業の形は、勤務先の規則を確認した時点でほぼ決まります。
副業そのものを禁じる法律はなく、可否を決めるのは勤務先の就業規則です。
公務員としての身分がある場合は、報酬を得る兼業に法律上の許可が必要になります。
絞り込みは次の3ステップで進めてください。
- 就業規則の副業規定と、届出・許可の有無を確認する
- 公務員の身分があるかを確かめ、必要なら許可を申請する
- 残った選択肢を、雇用で働くか業務委託で受けるかに分ける
3まで終えると、比較すべき候補は数えられる数まで減ります。
夜勤シフトと両立できる時間帯か確認する
時間帯の判断は、副業先と雇用契約を結ぶかどうかで基準が変わります。
労働基準法第38条第1項は、事業主が異なる副業でも労働時間を通算する扱いです。
厚生労働省の管理モデルでは、本業の法定外労働と副業の労働時間を合計します。
その合計を単月100時間未満、複数月平均80時間以内に収める枠組みです。
夜勤明けにさらに雇用のシフトを重ねると、この枠に一気に近づきます。
業務委託は通算の対象外で、休日や空き時間に合わせて量を調整する形が可能です。
シフト表を見て空く時間帯を書き出してから、どちらの形が入るか判断しましょう。
体力の消耗が本業に響かないか見る
体力面は、勤務先が副業を制限できる根拠に直結する項目です。
厚生労働省のガイドラインでは、労務提供上の支障がある場合は副業を制限できると整理されています。
夜勤の合間に立ち仕事の副業を重ねると、本業の勤務に支障が出たと判断されかねません。
見るべきは、連続勤務日数、睡眠時間の確保、翌日の勤務内容の3点です。
在宅の業務委託なら座って短時間で区切れるので、消耗の度合いを自分で調整できます。
本業の勤務表に副業の予定を書き込み、休息が消えないかを目で確かめてください。
月いくら必要かから逆算する
必要な金額を先に決めると、選ぶべき形態は自動的に絞られます。
目標額が小さいほど、在宅の業務委託で稼働量を調整しやすくなるでしょう。
それ以上を安定して確保したい場合は、雇用で単発シフトに入る形が候補になります。
金額を決めるときは、税の手続きも一緒に見てください。
給与以外の所得が年20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。
20万円以下でも、医療費控除などで申告する際は副業分も合わせて申告してください。
目標額と申告の手間を並べて、どちらの形態が現実的かを決めましょう。
守秘義務や利益相反に触れないか確認する
最後の確認は、看護師ならではの制限に触れていないかどうかです。
患者情報や勤務先が特定できるSNS発信は、就業規則上の制限理由になり得ます。
体験談の執筆や情報発信を副業にする場合は、症例や施設名が推測できる書き方を避けてください。
勤務先と競合する医療機関や訪問看護での掛け持ちも、制限の対象とされる場合があります。
厚生労働省のガイドラインも、業務上の秘密の漏洩や競業を制限の理由として挙げています。
判断に迷うときは、副業の内容を伝えたうえで勤務先に確認するのが確実です。
雇用型の副業は労働時間が通算される

かけもちの時間管理は、副業が雇用契約かどうかで分かれます。
労働基準法第38条第1項により、雇用型の副業は本業と労働時間が通算される決まりです。
枠の目安と割増賃金の負担者を、順に確認してください。
通算の対象になるのは雇用契約の副業
労働時間が通算されるのは、副業先とも雇用契約を結んで働く場合です。
労働基準法第38条第1項は、事業場を異にする場合でも労働時間に関する規定を通算すると定めています。
この「事業場を異にする場合」には事業主を異にする場合も含まれるという解釈です。
2026年8月24日に確認した厚生労働省のガイドラインでは、昭和23年5月14日付け基発第769号を根拠として示していました。
一方、個人事業主やフリーランスとして業務委託で受ける仕事は労働基準法上の労働者に当たらず、通算の対象外です。
シフトを増やす前に、自分の副業がどちらの契約なのかを契約書で確かめてください。
合計の労働時間には枠の目安がある
通算した労働時間には、超えないように管理すべき枠の目安があります。
厚生労働省が示す簡便な管理方法「管理モデル」で合計するのは、本業の法定外労働時間と副業の労働時間です。
合計を単月100時間未満・複数月平均80時間以内に収める枠組みになっています。
夜勤明けや公休日に単発の勤務を重ねると、合計時間は想像より早く枠へ近づきます。
本業の残業が多い月は、副業側の稼働を減らす調整が必要です。
シフトを入れる前に、1か月の合計見込みを書き出して確認しましょう。
割増賃金は通算の結果ではみ出た側が支払う
割増賃金の負担者は、どの時間が法定労働時間をはみ出したかで決まります。
厚生労働省のガイドラインは、まず双方の所定労働時間を通算する手順を示しています。
そこで法定労働時間を超える部分は、時間的に後から労働契約を結んだ使用者の時間外労働になります。
そのうえで所定外労働は発生した順に通算し、法定労働時間を超えた部分のうち自らが労働させた時間について、それぞれの使用者が割増賃金を支払う扱いです。
この計算をするには、副業先が本業の労働時間を把握する必要が出てきます。
本業の勤務時間を伏せたままでは、副業先は正しい賃金を計算できません。
実務では勤務先へ申告したうえで組み立てるほうが安全なので、届出や許可の要否を就業規則で先に確かめてください。
副業の税金と確定申告の基本

副業の税金は、所得税と住民税の2つに分けて考えると整理できます。
所得税は年間の副業所得が20万円を超えるかどうかが分かれ目です。
住民税は、本業の給与から天引きされる仕組みが関わってきます。
それぞれの決まりを順に確認してください。
副業所得が20万円を超えたら申告する
給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となる方が対象です。
給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。
2026年8月24日に確認した国税庁のNo.1900 給与所得者で確定申告が必要な人に、この区分が示されています。
同じページでは、給与の年間収入金額が2,000万円を超える人も確定申告が必要とされています。
判定するのは売上そのものではなく、収入から必要経費を差し引いた所得の金額なので、経費の記録を残しておいてください。
年末が近づいたら、副業分の収支を一度集計しておきましょう。
20万円以下でも申告が必要になる場合がある
副業所得が20万円以下でも、ほかの理由で確定申告をする年は、その副業所得も併せて申告します。
医療費控除の還付申告を行う年が代表的なケースです。
2026年8月24日に確認した国税庁の確定申告を要しない場合の意義にも、同じ扱いが記されています。
20万円以下で確定申告を要しない場合であっても、還付申告を行うときはその所得も併せて申告する必要があるという内容です。
20万円以下なら常に申告しなくてよい、という理解は誤りなので、気をつけてください。
判断に迷う年は、税務署や税理士に確認してから提出しましょう。
所得区分で申告方法が変わる
同じ副業でも、雇用で働くか業務委託で受けるかで、申告の準備が変わります。
病院やクリニックに雇われて働く単発バイトは給与として支払われ、源泉徴収票をもとに集計する形です。
業務委託で受ける仕事は、収入から必要経費を差し引いた金額が所得になります。
両方が混ざる年は、契約ごとに帳簿を分けて管理してください。
所得の区分は契約内容ごとに判断が変わるので、迷ったら税務署や税理士に確かめましょう。
住民税は本業に通知が届く仕組み
病院に勤める看護師の住民税は、勤務先が毎月の給与から天引きして納める特別徴収が原則です。
市区町村は、本人の住民税額を記載した通知書を勤務先へ送ります。
副業分の所得が住民税額に反映されると、本業の給与だけでは説明のつかない税額になることもあるでしょう。
住民税には職場へ伝わる経路があると理解してください。
知られたくないという理由で、申告義務のある所得を申告しないのは避けましょう。
就業規則が許可制なら、届出を出したうえで進めるほうが結局は安全です。
普通徴収にできるかは自治体の運用による
確定申告で普通徴収を選べばどんな副業も知られない、という説は正確ではありません。
パートやアルバイトのように給与として受け取る副業は、本業の給与と合算して特別徴収される扱いが基本になります。
普通徴収への切り替えを認めるかどうかは自治体の運用によって異なるので、市区町村の窓口で確かめてください。
普通徴収は「知られない方法」ではないので、隠す前提で副業を選ばないでください。
勤務先の規則を確認し、必要な届出を出したうえで始めるほうが、あとからの処分リスクを避けられます。
※最新の税制は国税庁公式サイトをご確認ください。
看護師が副業を始めるまでの手順

副業を始める手順は、就業規則の確認から記録の準備まで、4つのステップに整理できます。
順番を入れ替えると、申請前に契約を交わしてしまうなどの手戻りが起きるので気をつけてください。
1つずつ確認していきましょう。
就業規則と届出のルールを確認する
ステップ1は、勤務先の就業規則で副業の扱いを確かめる作業です。
副業を禁止する法律はなく、可否は勤務先の規則で決まります。
就業規則の「服務規律」や「兼業」の項目を開き、禁止・許可制・届出制のどれにあたるかを読み取ってください。
公務員としての身分がある方は、報酬を得て事業や事務に従事する際に法律上の許可が必要です。
規則を確かめないまま進めると、あとから制限に気づいて中断する事態になりかねません。
必要なら勤務先に申請する
ステップ2は、許可制や届出制の勤務先で正式な申請を出す段階になります。
申請で数字まで含めて伝える内容は、次の3点です。
- 副業の業務内容と働く先
- 1か月あたりの想定時間と曜日
- 夜勤や本業のシフトへの影響
想定時間をあいまいに伝えると、労務提供上の支障を理由に制限される余地を残すので、注意してください。
厚生労働省のガイドラインも、労務提供上の支障がある場合は企業が副業を制限できるとの整理を示しています。
本業のシフトを守れる範囲だと伝わる申請にしましょう。
契約形態を決めて案件や求人を探す
ステップ3は、雇用契約で働くか、業務委託で受けるかを決める段階になります。
雇用を選ぶと本業と労働時間が通算されるので、枠の管理が欠かせません。
業務委託は通算の対象外となる代わりに、報酬や責任の範囲を自分で確かめる必要が出てきます。
判断に迷う場合は、雇用と業務委託の違いを自分の勤務状況と照らし合わせてください。
募集を見る前に契約形態を決めておくと、労働時間の枠や税金の扱いで後戻りしにくくなります。
収入と経費の記録を残す
ステップ4は、副業の収入と経費を月ごとに記録する習慣づくりです。
給与所得・退職所得以外の所得が20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。
報酬の入金日と金額、交通費や書籍代といった経費を、その都度メモに残してください。
20万円以下でも、医療費控除などで確定申告をする場合は副業の所得も併せて申告が必要です。
記録が残っていれば、申告の時期に慌てずに済みます。
確定申告の手順そのものは、下記の記事にて詳しく解説しているので併せて読んでみてください。
副業で20万以上稼ぐと所得税の確定申告義務が発生し、正しく申告しないと無申告加算税や延滞税といったペナルティを受ける可能性があります。一方で、経費の計上や青色申告の活用により課税所得を大幅に減らせるケースも少なくありません。本記事では[…]
看護師の副業は確認の順番で決まる
看護師の副業でつまずくかどうかは、着手する順番で決まります。
最初に確認したいのは、可否を決めるのは法律ではなく勤務先の就業規則という点です。
公務員としての身分がある方は法律上の許可が要る場合もあるので、規程を先に確かめてください。
次に、雇用として働くのか、業務委託として受けるのかを決めましょう。
雇用か業務委託かで、労働時間の通算や税金の扱いが分かれます。
順番どおりに固めていけば、看護師の副業は無理なく始められるはずです。