薬剤師の副業は雇用形態や勤務先の規定により、できる場合とできない場合があります。
正しいルールを知らずに副業を始めると、就業規則違反や法律違反につながるリスクもあるため注意が必要です。
本記事では、薬剤師が副業できるかどうかの判断基準と、働き方に合わせたおすすめの仕事7選を紹介します。
副業の選び方から確定申告の基礎知識まで網羅的に解説しているので、ぜひ参考にしてください。
薬剤師の副業は一部を除き可能

民間企業に勤める一般の薬剤師は、就業規則で禁止されていなければ副業が可能です。
ただし、管理薬剤師や公務員薬剤師など、法律で兼業が制限される立場もあります。
- 一般の薬剤師は就業規則次第
- 管理薬剤師は薬機法で原則禁止
- 公務員薬剤師は法律で厳しく制限
自分がどの区分に該当するかを把握したうえで、副業の可否を判断しましょう。
一般の薬剤師は就業規則次第
一般の薬剤師が副業できるかどうかは、勤務先の就業規則で決まります。
厚生労働省の「モデル就業規則」(令和7年12月版)では、勤務時間外に他社の業務へ従事できる旨の規定例が示されています。
しかし、実際には病院や企業系の薬剤師だと副業禁止条項を設けているケースが少なくありません。
就業規則に違反した場合、懲戒処分の対象となるので、必ず事前に確認してください。
一方、パートや派遣薬剤師は比較的自由に副業を認められる傾向です。
働き方改革の影響もあり、「副業可」「WワークOK」と記載された求人も増えています。
副業を検討する方は、雇用契約書と就業規則の副業規定を確認したうえで判断しましょう。
管理薬剤師は薬機法で原則禁止
管理薬剤師(薬局の管理者)は、薬機法第7条第4項により、その薬局以外の場所で薬局の管理その他薬事に関する実務に従事することが原則禁止されています。
医薬品の保管や調剤体制、法令遵守の継続確認といった管理責任を果たすうえで、ほかの業務が支障を生む可能性があるためです。
ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合に限り、兼業が認められるケースもあります。
許可はどのような場合でも下りるわけではなく、公益上の必要性が認められる場面などに限定される運用です。
注意すべき点として、薬機法で禁止されているのは薬局の管理や調剤といった「薬事に関する実務」です。
講師業のような薬事業務に該当しない仕事は、薬機法上の制限対象ではありません。
管理薬剤師として副業を検討する際は、その業務内容が薬事関連に該当するかどうかを確認しましょう。
公務員薬剤師は法律で厳しく制限
公務員薬剤師は、国家公務員法第103条・第104条および地方公務員法第38条により、副業が原則として禁止されています。
営利企業の役員兼任や自営が制限されるだけでなく、報酬を得て事業や事務に従事するには所定の許可が必要です。
厚生労働省の薬系技官や保健所職員、国立病院の薬剤師、地方自治体の薬局職員などがこの規定の対象に該当します。
制限の理由は、公務の公正性・中立性の確保と職務専念義務の遵守にあります。
許可を得ずに副業を行えば、免職や減給といった懲戒処分の対象となります。
自身が公務員に該当する場合は、勤務先への確認や許可の手続きなしに副業を始めることは控えてください。
副業は不規則な働き方に合わせて選ぶ

薬剤師の副業は、本業のシフトパターンに合った働き方を選ぶことが成功の鍵です。
薬剤師の勤務形態は早番・遅番のローテーションや不定休が多く、決まった曜日・時間に働く副業は続きません。
自分のシフトに応じて、次の3つの時間帯を意識して副業を選びましょう。
- 早番の日の夕方以降
- 休日の単発勤務
- スキマ時間の在宅ワーク
それぞれの時間帯に適した副業の選び方を、確認してみてください。
早番の日は夕方以降の時間を活かす
早番で勤務を終えた日は、夕方以降の数時間を副業に充てられます。
調剤併設店舗の調剤室は平日夕方までの営業が一般的なので、早番であれば17時前後に退勤できるケースが多いです。
夕方以降に働ける副業先として、21時まで営業するドラッグストアや24時間営業の店舗が挙げられます。
大手ドラッグストアでは夕方以降や土日の時給を上乗せする求人例もあり、短時間でも効率よく稼げます。
薬剤師のパート・アルバイトは時給2,000円前後の求人が多く、22時以降は深夜割増も加わるため、限られた時間でも収入を得やすい働き方です。
ただし、夜遅くまで働く場合は翌日の本業に支障が出ないよう注意してください。
終業から翌日の始業まで十分な休息時間を確保できるよう、遅い時間の勤務は早番の日だけに限定し、体調管理を最優先にしましょう。
休日には単発で入れる仕事を選ぶ
休日を副業に充てるなら、1日〜数日単位で働けるスポット勤務が最適です。
病院や調剤薬局、ドラッグストアでは急な欠員や繁忙期の補充として単発求人が出ており、自分の休日に合わせて柔軟にシフトを組めます。
スポット派遣では時給3,000円を超える案件もあり、アルバイトの相場と比べて高単価な点も魅力です。
時給3,000円・1日8時間の勤務なら、月4回働くだけで9万6,000円ほどの副収入になる計算です。
ただし、日雇派遣(日々または30日以内の期限を定めた労働者派遣)は原則禁止のため、単発派遣で働くには例外要件を満たす必要があります。
厚生労働省の「労働者派遣法改正に関するQ&A」では、例外として次の場合が示されています。
- 60歳以上の方
- 雇用保険の適用を受けない昼間学生
- 副業として従事する方(本業の生業収入が500万円以上ある場合)
- 主たる生計者でない方(世帯収入が500万円以上ある場合)
副業として日雇派遣に入るには、本業の収入が500万円以上あることなどの条件があるため、自分が該当するか事前に確認しましょう。
薬剤師向けの派遣会社に登録しておくと、条件に合う単発案件を効率よく探せます。
本業が休みの日だけ働くスタイルなので、平日の業務に影響を与えずに収入を増やせます。
スキマ時間は在宅ワークを活用する
通勤前後や昼休みなどのスキマ時間には、場所を選ばない在宅ワークが最適です。
在宅ワークの多くは業務委託形式で受注するため、労働時間の通算問題が発生しにくく、本業への影響を抑えられます。
案件の探し方としては、次のチャネルが代表的です。
- クラウドソーシングサイト
- 医療系専門求人サイト
- 薬剤師専門の転職エージェント
在宅案件は短時間・単発の業務が多く、1日30分〜1時間程度から取り組めるものも存在します。
育児や介護と並行しながら収入を得たい方にも向いている働き方です。
「在宅可」「フルリモートOK」「週1対応可」といった条件の求人は増えているので、自分の生活リズムに合った案件を探してみてください。
資格や知識を活かせるおすすめの副業7選

薬剤師の資格や専門知識を活かせる副業は、次の7つです。
| 副業の種類 | 特徴 | 報酬の目安 |
|---|---|---|
| スポット派遣薬剤師 | 1日単位から対応可能 | 時給2,400〜3,500円程度 |
| 休日夜間急病センター | 本業後や休日のスポット勤務 | 時給3,000〜5,000円程度 |
| ドラッグストア | 夜間営業店舗でシフト勤務 | 時給2,000〜3,000円程度 |
| メディカルライター | 在宅で医療記事を執筆 | 1記事3,000円〜3万円程度 |
| 医療記事の監修 | 専門知識で記事内容を確認 | 1記事2,000円〜数万円程度 |
| オンライン服薬指導 | 自宅からビデオ通話で対応 | 時給2,000〜3,500円程度 |
| 治験関連業務 | 土日を活用した単発対応 | 時給2,000円台の求人例あり |
働き方や確保できる時間に合った副業を選んでみてください。
高時給なスポット派遣薬剤師
スポット派遣薬剤師は、1日単位から働ける高時給の副業です。
パート薬剤師と比較して時給が高くなる傾向があり、短時間でも効率よく稼げます。
時給相場は2,400〜3,000円が中心で、エリアや条件しだいでは3,500円以上の求人もあります。
地方の人手不足エリアでは4,000円を超える案件も見られ、交通費や住居が支給されるケースもあります。
勤務形態の自由度が高い点も魅力で、主な特徴は次のとおりです。
- 週1〜2日から週5日まで選択可能
- 土日祝休みの案件あり
- 残業なし、またはほぼなしの案件あり
- ブランクがある方でも応募可能
最低契約期間が1か月間と設定されている派遣会社が多いものの、スポットや短期に特化した案件も扱われています。
本業のシフトが確定してから空いた日に入れられるので、不規則な勤務体制の薬剤師でも取り組みやすい副業です。
深夜帯の休日夜間急病センター
休日夜間急病センターの薬剤師業務は、時給3,000〜5,000円程度と高額な報酬が魅力の副業です。
市区町村の薬剤師会がシフトを管理しており、会員が交代で単発勤務する仕組みのため、本業のスケジュールに合わせて働けます。
勤務時間は平日21時以降から翌朝まで、休日は全日対応など施設ごとに異なり、深夜から翌朝までの勤務例もあります。
処方内容は嘔吐・下痢・発熱といった急性疾患が中心で、1〜3日分の処方が多く剤数も少ないことから、調剤の負担は比較的軽いといえます。
始め方もシンプルで、地域の薬剤師会に入会し勤務希望を伝えるだけです。
時給5,000円の案件であれば、6時間勤務で約3万円の日当になる計算です。
外部の医師や看護師と連携する機会が生まれるので、本業では得られない経験やキャリアの幅を広げる場としても活用してみてください。
夜間営業しているドラッグストア
夜間営業のドラッグストアは、本業の早番後や土日に働きやすい副業先です。
多くのドラッグストアは21時頃まで営業しており、一部店舗では24時間体制を敷いていることから、本業終了後の時間帯でもシフトに入れます。
夜間帯にドラッグストアで薬剤師が求められる理由は、要指導医薬品や第一類医薬品の販売に薬剤師の対応が必要なためです。
営業時間中は薬剤師を配置しなければならず、夜間シフトは人手不足になりやすい状態が続いています。
そのため時給は高めに設定される傾向があり、22時以降の深夜帯は労働基準法第37条に基づき25%以上の割増賃金が適用されます。
日曜限定などの求人では時給3,000円以上の案件も見られ、限られた時間で効率よく収入を得られるでしょう。
調剤併設型の店舗を選べば、OTC販売だけでなく調剤スキルの維持にもつながります。
「夜間のみ」「土日のみ」といったダブルワーク向けの求人も安定して出ているので、本業のシフトに合わせて無理なく働ける職場を探してみてください。
在宅でできるメディカルライター
メディカルライターは、薬剤師の専門知識を活かしながら完全在宅で取り組める副業です。
医療従事者向けの雑誌記事やWeb記事の執筆、製薬企業向けプロモーション資材の制作など、業務内容は多岐にわたります。
専門性が高い案件ほど単価も上がる傾向があり、通勤時間が不要なので本業との両立がしやすい点も魅力です。
クラウドソーシングサイトや医療系メディアの募集から始めれば、副業として少ない案件数からスタートできます。
臨床研究計画書や医学論文の執筆といった高度な案件を受注できるようになれば、さらなる収入アップも見込めるでしょう。
薬剤師としての臨床経験や薬学知識がそのまま執筆の質に直結するので、日々の本業がスキルの土台になる働き方です。
専門知識を活かす医療記事の監修
医療記事の監修は、ライティングスキルがなくても薬剤師の専門知識だけで取り組める副業です。
企業やWebメディアが公開する健康・医薬品関連の記事に対し、内容の正確性や薬機法・景品表示法への適合をチェックする業務が中心となります。
報酬の相場は1記事あたり2,000円〜1万円程度で、週1本ペースなら月1万〜4万円程度の収入を見込める計算です。
メディカルライターのように文章を書く必要がなく、確認作業が主体なので取り組みやすい点が魅力です。
案件はクラウドワークスやココナラなどのプラットフォームで見つかります。
ただし、競合が多いことから継続的な案件確保には工夫が必要です。
薬事に関する実務に該当しない業務であれば管理薬剤師でも取り組める余地がありますが、判断に迷う場合は勤務先や行政窓口に確認してください。
信頼性を高めるために得意な疾患領域や薬効群を明確にし、プロフィールでアピールしましょう。
自宅から繋ぐオンライン服薬指導
オンライン服薬指導は、自宅からビデオ通話や電話を通じて患者へ薬の説明を行う業務です。
2022年(令和4年)9月の薬機法施行規則の改正により、一定の条件のもとで薬局以外の場所からオンライン服薬指導を実施できるようになりました(2026年8月時点)。
業務内容は、処方薬の説明や副作用の案内、生活上の注意点の伝達など、普段の服薬指導と変わりません。
時給は2,000〜3,500円程度が目安で、通勤の必要がないことから、本業後の夕方やスキマ時間を有効に使えます。
オンライン服薬指導に対応したサービスやシステムを導入する薬局が増えており、特別なITスキルも不要です。
ただし、服薬指導を担当できるのは薬局に勤務する薬剤師に限られる点は押さえておきましょう。
土日を活用できる治験関連業務
治験関連業務は、土日に実施されるケースがあり、平日勤務の薬剤師が休日を活用して取り組みやすい副業です。
業務内容は、被験者へのインフォームドコンセント補助やカルテチェック、EDC(電子データ収集システム)への入力など多岐にわたります。
CRC(治験コーディネーター)の求人は未経験歓迎のものも多く、薬剤師の薬学知識を直接活かせる点が魅力です。
派遣求人では時給2,000円台の案件が見られ、被験者のスケジュールに合わせて土曜出勤が発生する現場も存在します。
求人サイトでは、患者説明補助や医師補助といった治験補助業務で土日対応可能な案件も掲載されています。
臨床開発の現場経験は薬剤師としてのキャリアの幅を広げるので、興味がある方は求人情報をチェックしてみてください。
薬剤師以外の仕事も含めて副業の選択肢を広げたい方は、下記の記事も併せて読んでみてください。
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副業を長続きさせるコツは本業との両立

副業を継続するうえで最も大切なコツは、本業に支障をきたさないバランスを保つことです。
薬剤師の本業は立ち仕事が中心で体力の消耗が激しいため、副業の負荷が加わると心身の疲労が蓄積しやすくなります。
長く続けるために意識したいポイントは次の3つです。
- 労働時間を決めて無理をしない
- 体力的な負担が少ない仕事を選ぶ
- 自身のスキルアップに繋げる
副業を始める前に「副業時間」と「プライベート時間」の線引きを明確にし、生活全体のバランスを整えたうえで取り組んでみてください。
労働時間を決めて無理をしない
副業の労働時間は、週あたりの上限を事前に決めておきましょう。
労働基準法第38条により、雇用されて働く場合は本業と副業の労働時間が通算されます。
働きすぎは体調不良やミスのもとになるため、最初から多くの時間を副業に充てるのは避けてください。
副業を始める段階では、週1回・2時間程度からスタートし、本業への影響がないか様子を見ながら調整するのがおすすめです。
慣れてきた段階で少しずつ時間を増やせば、無理なく収入アップを目指せます。
「月に何時間まで」「週に何日まで」と自分なりのルールを設定し、本業に支障が出ない範囲を守ってください。
体力的な負担が少ない仕事を選ぶ
副業には、身体への負荷が小さい在宅ワーク系の仕事を優先しましょう。
薬剤師の本業は体力と精神力を消耗する現場勤務が基本なので、副業でも立ち仕事を選ぶと疲労が蓄積します。
ライターや医療記事の監修、オンライン相談といった在宅ワークであれば、自宅で自分のペースで作業できるため身体的な負担を抑えられます。
やむを得ず外勤の副業を選ぶ場合は、通勤時間の短い職場を選んでください。
移動だけで疲れてしまうと、本業のパフォーマンスに支障が出ます。
休息時間と休息日を明確に確保したうえで、無理なく続けられる副業を選びましょう。
自身のスキルアップに繋げる
副業で得たスキルや経験を本業に還元できる仕事を選ぶと、長く続けるモチベーションになります。
収入だけを目的にすると忙しさに疲れて挫折しやすいことから、自身の成長を実感できる副業が理想的です。
副業が本業に活きる具体例として、次のケースが挙げられます。
- 副業先で本業と異なる診療科目を扱い、知識や経験の幅が広がる
- ライティングの副業を通じて、薬歴記載が短時間でわかりやすく書けるようになる
- オンライン相談や監修業務で、患者対応力やコミュニケーション力が磨かれる
また、副業で培った検索力や先回りの思考力は、本業での報告書作成や患者との会話にも役立ちます。
認定薬剤師資格の取得を副業に活かせば、学びをアウトプットする機会が増え、本業との相乗効果も期待できるでしょう。
「月5万円稼いで旅行に行く」「在宅スキルを身につける」など、目的と目標を明確に設定して副業に取り組んでください。
副業を始める前に確認すべき3つの注意点

副業を始める前に、トラブルを防ぐための確認事項を押さえておきましょう。
準備を怠ると、懲戒処分や信頼失墜といった大きなリスクを抱えることになります。
確認すべきポイントは次の3つです。
- 就業規則の副業規定を確認する
- 年間所得20万円超えは確定申告する
- 住民税から副業がバレる対策をする
いずれも見落とすと後戻りの負担が大きくなるので、副業を始める前に一つずつチェックしてください。
就業規則の副業規定を確認する
副業を始める前に、勤務先の就業規則にある「服務」の項目を確認してください。
厚生労働省は2018年(平成30年)1月にモデル就業規則を改定し、労働者の遵守事項から副業禁止の規定を削除して、副業・兼業についての規定を新設しました。
しかし、すべての企業が副業を認めているわけではありません。
就業規則の規定は企業ごとに異なり、「全面禁止」「許可制」「届出制」「自由」など対応が分かれます。
無断で副業を行った場合、懲戒処分の対象となるケースもあるので、必ず事前に確認しましょう。
許可制を採用している職場であれば、上長や人事部門へ申請し、承認を得てから副業を開始してください。
年間所得20万円超えは確定申告する
会社勤めの薬剤師が副業で得た年間所得が20万円を超えた場合、確定申告が必要です。
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」では、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える場合に確定申告が必要と定めています。
ここでいう所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額を指します。
たとえば副業収入が30万円で経費が10万円なら所得は20万円となり、申告は原則不要です。
一方、所得が20万円を1円でも超えると申告義務が発生します。
注意すべき点として、副業がアルバイトなど給与所得に該当する場合は、20万円以下でも確定申告が必要になるケースがあります。
本業の年末調整では副業先の給与が含まれないことから、自分で申告しなければなりません。
申告を怠ると、無申告加算税や延滞税が課される恐れがあります。
無申告加算税は国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」によると、税務署の調査を受けた後に申告した場合で納付すべき税額の15〜30%です。
調査の事前通知の後でも調査を受ける前に申告すれば10〜25%に、事前通知の前に自主的に期限後申告をすれば5%に軽減されます。
延滞税の割合は国税庁「No.9205 延滞税について」によると、2026年(令和8年)は納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、それ以降が年9.1%です(2026年8月時点)。
期限である翌年3月15日までに必ず手続きを済ませてください。
※最新の税制は国税庁公式サイトをご確認ください。
住民税から副業がバレる対策をする
副業が職場にバレる最大の原因は、住民税の特別徴収額の変動です。
住民税は前年の所得全体を合計して算出されるので、本業の給与に変動がなくても天引き額だけ増えれば、経理担当者に気づかれる可能性があります。
住民税の所得割は標準税率が10%のため、副業の所得が年間100万円増えると住民税が約10万円増える計算です。
防ぐ方法は、確定申告時に副業分の住民税を「普通徴収(自分で納付)」へ切り替えることです。
手続きの流れは次のとおりです。
- 確定申告書の第2表にある「住民税・事業税に関する事項」欄を開く
- 給与以外の所得分について「自分で納付」を選択する
- e-Taxの場合はオンラインフォームの該当箇所で同様に選択する
普通徴収を選ぶと副業分の納税通知書が自宅へ届き、自分で納付する形になります。
ただし、普通徴収への切り替えが認められるかどうかは自治体の運用によって異なるため、事前にお住まいの市区町村へ確認してください。
住民税以外にも、SNSでの情報発信や同僚への相談から発覚するリスクがあります。
税金の手続きだけでなく、日常の行動面にも気を配りましょう。
就業規則を守り無理のない副業を始めよう
薬剤師が副業を始めるには、自身の雇用形態と就業規則の確認が最初の一歩です。
厚生労働省のモデル就業規則では勤務時間外に他社の業務へ従事できる旨の規定例が示されており、副業は社会的にも広く認められつつある働き方です。
ただし、管理薬剤師は薬機法第7条第4項の制限があり、公務員薬剤師は国家公務員法や地方公務員法により原則禁止されています。
一般の薬剤師であっても、勤務先の就業規則に副業禁止規定がある場合は懲戒処分の対象となるので、必ず事前に確認してください。
本業に支障が出ない範囲で労働時間を管理しながら、無理のない副業を選びましょう。
スポット派遣やメディカルライターなど、薬剤師の資格や知識を活かせる仕事は多く存在します。
自分のライフスタイルに合った副業を取り入れて、収入とスキルの両方を伸ばしていきましょう。