蕎麦 碾初HIKIZOME

石臼は、毎分14回転しか回りません。

碾く ─ 六つの工程と、それぞれにかかる時間

電動の製粉機なら、同じ2.4kgが三分で粉になります。うちは18分かけます。 遅いほうが良いという話ではありません。速く回すと石が温まり、温まった石は香りの立ちを鈍らせるからです。 手で触って、石が体温より冷たいうちに碾き終える。回転数はその結果として毎分14回転になりました。

玄蕎麦のまま、坂を上がってきます。

貫井高原の畑から、殻付きで届く理由

粉で仕入れれば手間は要りません。それでも殻付きで仕入れるのは、 殻を外した実は、外した瞬間から古くなるからです。うちに届く玄蕎麦は、 貫井高原の三軒の畑のもの。届いてから使い切るまで、いちばん長い袋で九日です。

板の上に分けて置いた玄蕎麦と丸抜きの粒
左が玄蕎麦(殻付き)、右が丸抜き。殻を外すのは碾く直前です。

粉になるまで、18分。そこから40分が持ち時間です。

一回ぶん 2.4kg の道のり

  1. 殻を外す

    4分 / 目減り およそ28%

    碾く直前に外します。外した実(丸抜き)は、この時点でもう時計が動き始めています。

  2. 石臼に落とす

    18分 / 毎分14回転

    上臼の穴へ少しずつ落とします。多く入れると臼が滑って、粉が粗いまま出てきます。

  3. 篩う

    3分 / 三十目の篩

    粗碾きの日はこの工程を一段飛ばします。香りは強く、そのぶん切れやすくなります。

  4. 水を回す

    6分 / 加水はおよそ46%

    その日の湿りで変えます。数字は目安で、最後は手の感触で決めています。

  5. のして、切る

    9分 / 厚さ1.4mm・幅1.5mm

    切り幅は一定にします。太さが揃っていないと、茹で上がりが一本ずつずれます。

  6. 茹でる

    50秒 / 一度に2人前まで

    湯から上げて、洗って、締めて、盛るまでが90秒。ここで粉は役目を終えます。

合計すると、碾き始めから最初の一枚が出るまでおよそ40分。 「40分で使い切る」は理想ではなく、工程を足した結果です。

40分という線は、匂いで引いています。

測っていないことを、測っているように書かないために

成分を計ったわけではありません。開店した年に、同じ粉を10分ごとに打って並べ、 打ち手三人が目隠しで嗅ぎ分けました。40分を過ぎたところで三人とも当てられなくなった。 それだけの根拠です。だから線は40分にしてあります。

過ぎた粉は捨てません。翌日のそばがきと、蕎麦湯に回します。 もったいないからではなく、そばがきは香りより粘りで食べるものだからです。

次の回は、もう碾く時刻が決まっています。

昼一番 11:20 / 昼二番 12:50 / 夜 18:20

どの回に座るかで、目の前に出る蕎麦の粉が変わります。 予約の画面では、選んだ回の粉を何時に碾くかをその場でお見せします。

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