Work 02 — 2023
森閑の図書室
個人の蔵書 約24,000冊を、次の世代まで残したいというご依頼でした。
紙にとって最大の敵は直射日光と湿度の変動です。ですから、この建物には南向きの窓が1つもありません。
代わりに、屋根を北へ跳ね上げて高窓を並べ、一日じゅう明るさの変わらない北の光だけを落としています。
「暗い図書室」にならないよう、床の仕上げを白く近づけて、天井からの光を下から返しました。
Drawings
図面
書架が、そのまま構造になっている。
4列の書架は家具ではありません。上下を金物で床と梁に留めた、この建物の耐力要素です。 壁で耐力を取ると、そのぶん書架を置ける長さが減ります。書架自体に働いてもらえば、 21mの一室を柱なしで使えます。
閲覧室と整理室は東側にまとめました。入口から書架を通らずに閲覧室へ行ける動線にしてあります。 本を探しに来た人と、読みに来た人の足音が混ざらないようにするためです。
朱の線は、天井にある高窓の位置です。書架の列と列のちょうど真上に来ています。
光は、北の空からだけ入れる。
屋根を北へ跳ね上げ、立ち上がった面に高窓を5つ並べました。 北の空は一日じゅう明るさが変わらず、直射日光が入りません。 本の背表紙が灼けず、閲覧机の上の照度も朝と夕でほとんど変わりません。
床は白く近い研ぎ出しにしています。上から落ちてきた光を下から返すためで、 書架の下段まで手元の明るさが届きます。照明は日没後しか使いません。
朱の線が、高窓から入って書架に届くまでの光の道です。どの線も南から入ってきていません。
概要
| 用途 | 私設図書室(非公開) |
|---|---|
| 構造・規模 | 木造 一部鉄骨造 平屋建て |
| 延床面積 | 214.0㎡ |
| 収蔵 | 約24,000冊(書架総延長 348m) |
| 採光 | 北面高窓 5か所のみ。南面開口 なし |
| 環境 | 調湿は建材でまかなう(機械除湿は補助のみ) |
| 設計期間 | 9か月 |
| 竣工 | 2023年 |
※ この建物は制作見本のための創作です。実在しません。