Ryosen Architects — est. 2009
稜線を、間取りの一部にする。
山の稜線は、その土地にひとつしかない線です。
わたしたちは敷地に立ち、どの高さで、どの窓から、その線がいちばん美しく見えるかを先に決めます。
間取りは、そのあとに決まります。
How we draw
一本の線から、住まいになるまで
読み進めるほど、右の図面が引かれていきます。敷地断面 → 平面 → 立面 → 断面。 わたしたちが実際にこの順番で描くからです。
まず、土地を縦に切る。
測量図を受け取ったら、いちばん先に描くのは間取りではなく、敷地を縦に切った断面です。 どの高さに床を置けば、正面の稜線が屋根や隣家に隠れないか。それだけを見ます。
この敷地では、道路から4.5m上げた位置に床を置くと、居間に座ったまま稜線の全部が見えることが分かりました。 基礎の高さも、造成の量も、ここで決まります。
朱の線は、居間から稜線へ向かう視線です。この線を先に引いてから、建物の輪郭を描きます。
視線の通り道に、部屋を割りつける。
床の高さが決まると、平面はほとんど自動的に決まります。 視線の通り道には壁を立てない。水まわりと寝室は、視線のない側にまとめる。 廊下をつくらず、土間から居間へ直接つなぐ。
このお住まいは延床 96.4㎡、部屋は5つだけです。数を絞ったぶん、居間の開口を 5,700mm 取れました。
階段は土間の中に置いています。冬の冷気を居間に入れないための位置です。
軒の高さは、風景が決める。
外観は「かっこいい形」から決めません。 居間の座位から見上げたときに、軒が稜線を切らない高さ。それが軒高 5,900mm でした。 屋根の勾配も、背後の斜面と平行になるように取っています。
結果として建物は低く、横に長くなります。まわりの家並みからも浮きません。
薄い青の線が、背後の実際の稜線です。屋根の線がそれと平行になっているのが分かります。
最後にもう一度、縦に切って確かめる。
図面がひととおり揃ったら、もう一度断面を描いて、最初に引いた視線の線が本当に通っているかを確かめます。 天井高は居間で 4,800mm、寝室で 2,400mm。高さを変えることで、同じ床面積でも居場所が分かれます。
ここまでを、お引き受けしてから平均 7週間で行います。工事費の概算もこの時点でお出しします。
Selected works
近年の仕事から3件
それぞれの敷地に、それぞれの稜線があります。図面をクリックすると、その建物の平面と断面が見られます。