つくり方

1本が仕上がるまで、
およそ3週間かかります。

機械で抜いた板を研ぐのではなく、鋼と軟鉄を火で貼り合わせるところから始めます。手間の分だけ研ぎ直しが効き、刃がなくなるまで使えます。

金床の上で赤めた鋼。あたりは暗く、鋼そのものが光っている
火造り。鋼が飴色になっている間だけ、形が動きます
  1. 鍛接(たんせつ)─ 鋼と軟鉄を火で貼る

    硬い鋼だけで作ると欠けます。軟らかい鉄で挟み、1,000度を超えたところで叩いて1枚にします。硼砂(ほうしゃ)をふりかけて酸化を防ぎ、金槌の音が変わった瞬間に離します。

    1本あたり およそ40分
  2. 火造り(ひづくり)─ 包丁の形にする

    厚みの配分をここで決めます。刃元を厚く、切っ先へ向けて半分まで落とします。温度計は使いません。火の色と鋼の色を見て、下がったら火床に戻します。

    1本あたり およそ1時間
  3. 荒仕上げ ─ 反りと歪みを取る

    叩いたままでは必ず曲がっています。定盤(じょうばん)に当てて光の漏れを見ながら、木槌で戻します。ここを飛ばすと、後の研ぎで全部が狂います。

    1本あたり およそ40分
  4. 焼入れ・焼戻し ─ 硬さを決める

    760度前後まで上げ、水に入れます。硬くなりすぎた鋼はそのままだと割れるので、180度で戻して粘りを持たせます。この2つの温度が工房の要です。失敗した鋼は戻せません。

    1本あたり およそ25分・失敗は年に20本ほど
  5. 研ぎ ─ 荒砥から天然砥まで4段

    荒砥で形を出し、中砥で鎬の線を通し、仕上げ砥で刃を付け、最後に天然砥で地を落ち着かせます。刃先の角度は片側15度。ここだけは指の感触で決めています。

    1本あたり およそ2時間
  6. 柄付け ─ 焼いて挿す

    朴(ほお)の八角柄に、赤めた中子(なかご)を焼き込んで挿します。接着剤を使わないので、緩んだら差し直せます。柄尻に打った職人の刻印を入れて仕上がりです。

    1本あたり およそ30分
鋼のこと

3種類しか使いません

増やせば選ぶ楽しみは増えますが、焼入れの勘が薄まります。使う方の台所に合わせて選んでください。

鋼材向いている方
白紙2号切れ味を最優先する方。不純物が少なく、いちばん薄く鋭い刃が付きます。使ったらすぐ拭く手入れが要ります
青紙2号毎日使う方。粘りがあり、刃持ちが長く、欠けても研ぎで戻せます。当工房でいちばん出ます
銀三錆を気にしたくない方・共用の台所。ステンレス系で赤錆が出ません。研ぎは炭素鋼より粘ります
木の台に並べた3本の包丁
仕上がった3型

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