つくり方
1本が仕上がるまで、
1本が仕上がるまで、
およそ3週間かかります。
機械で抜いた板を研ぐのではなく、鋼と軟鉄を火で貼り合わせるところから始めます。手間の分だけ研ぎ直しが効き、刃がなくなるまで使えます。
鍛接(たんせつ)─ 鋼と軟鉄を火で貼る
硬い鋼だけで作ると欠けます。軟らかい鉄で挟み、1,000度を超えたところで叩いて1枚にします。硼砂(ほうしゃ)をふりかけて酸化を防ぎ、金槌の音が変わった瞬間に離します。
1本あたり およそ40分火造り(ひづくり)─ 包丁の形にする
厚みの配分をここで決めます。刃元を厚く、切っ先へ向けて半分まで落とします。温度計は使いません。火の色と鋼の色を見て、下がったら火床に戻します。
1本あたり およそ1時間荒仕上げ ─ 反りと歪みを取る
叩いたままでは必ず曲がっています。定盤(じょうばん)に当てて光の漏れを見ながら、木槌で戻します。ここを飛ばすと、後の研ぎで全部が狂います。
1本あたり およそ40分焼入れ・焼戻し ─ 硬さを決める
760度前後まで上げ、水に入れます。硬くなりすぎた鋼はそのままだと割れるので、180度で戻して粘りを持たせます。この2つの温度が工房の要です。失敗した鋼は戻せません。
1本あたり およそ25分・失敗は年に20本ほど研ぎ ─ 荒砥から天然砥まで4段
荒砥で形を出し、中砥で鎬の線を通し、仕上げ砥で刃を付け、最後に天然砥で地を落ち着かせます。刃先の角度は片側15度。ここだけは指の感触で決めています。
1本あたり およそ2時間柄付け ─ 焼いて挿す
朴(ほお)の八角柄に、赤めた中子(なかご)を焼き込んで挿します。接着剤を使わないので、緩んだら差し直せます。柄尻に打った職人の刻印を入れて仕上がりです。
1本あたり およそ30分
鋼のこと
3種類しか使いません
増やせば選ぶ楽しみは増えますが、焼入れの勘が薄まります。使う方の台所に合わせて選んでください。
| 鋼材 | 向いている方 |
|---|---|
| 白紙2号 | 切れ味を最優先する方。不純物が少なく、いちばん薄く鋭い刃が付きます。使ったらすぐ拭く手入れが要ります |
| 青紙2号 | 毎日使う方。粘りがあり、刃持ちが長く、欠けても研ぎで戻せます。当工房でいちばん出ます |
| 銀三 | 錆を気にしたくない方・共用の台所。ステンレス系で赤錆が出ません。研ぎは炭素鋼より粘ります |