PROCESS
6つの工程
受託調合の標準的な流れです。全体でおよそ4〜6か月。このうち香りを実際に組んでいる時間は、3割ほどしかありません。
聞き取り
希望の香りではなく、思い出してほしいものを聞きます。「清潔感」のような言葉が出たら、それが石けんの清潔感なのか、洗いたてのシーツの清潔感なのか、病院の清潔感なのかまで降ろします。ここを飛ばした案件は、試作の回数が平均で2倍になります。
原料の選定
香りを組む前に、天然由来と合成の比率を決めます。天然は表情が豊かですが、産地と年で変わります。毎年同じものを納める必要がある案件では、合成の比率を上げます。当研究所は2021年から動物由来の原料を使っていません。
試作
方向の違う3案を作り、それぞれ5回まで振り直します。平均15本。3案のうち1案は必ず「言われていない方向」を入れます。採用率は低いのですが、これが入っていると、残り2案の評価がはっきりします。
経時試験
3つの温度で30日置き、色・濁り・香りの立ち方の変化を記録します。40℃で変わるものは、夏の倉庫と輸送で必ず変わります。ここで落ちる処方が、試作全体のおよそ3割です。
官能評価
銘柄を伏せ、順番を入れ替えて評価します。作った本人は評価に加わりません。評価は点数ではなく「何を思い出したか」を言葉で集め、聞き取りの記録と突き合わせます。
量産設計
少量から始められるようにしています。ロットごとにガスクロマトグラフで前ロットと照合し、主要成分の比率が基準幅に入っていることを確認してから出荷します。
STEP 04 / TIME & TEMPERATURE
温度が2度違うと、別の香りになる
経時試験でいちばん多く見つかる不具合は「香りが悪い」ではなく「立つ順番が変わる」ことです。下の図は、室温を変えたときに6つの系統がどう組み変わるかを示したものです。スライダの室温を18℃から32℃へ動かすと、柑橘の山が左へ寄って高くなり、樹脂の山が相対的に沈みます。冬に決めた処方を夏に納めると、これが起きます。
図の上でマウスを動かす(スマホは横に指を滑らせる)
- 経過時間
- 1時間12分
- 室温
- 24.0 ℃
お使いの端末で「動きを減らす」設定が入っているため、図の自動送りを止めています。 スライダを動かすか、 を押すと動きます。
図は説明のための模式であり、特定の処方の実測値ではありません。
LABORATORY
設備
| 設備 | 台数 | 用途 |
|---|---|---|
| ガスクロマトグラフ | 2台 | ロットごとの照合。主要成分の比率が基準幅に入っているかを見る |
| 恒温槽 | 3台(5℃ / 20℃ / 40℃) | 30日の経時試験。3温度を同時に回す |
| 官能評価室 | 1室(6席) | 空調と残香を切り離した部屋。評価者どうしが見えない配置 |
| 小型調合台 | 4台 | 調香師ごとに専有。原料の並び順を各自の記憶に合わせている |
| 少量生産ライン | 1系統(最小3kg) | 2026年新設。試作から量産までを同じ建屋で行う |